NPO法人イー・ビーイング
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エネルギーと覚悟

 今、3.11の津波に伴う原発事故の酷い惨状に、原発アレルギーが広がっている。
 日本政府や電力会社のいう安全神話の崩壊によるところが大きい。
 そして原発関係者の『想定外』の連発には、それはないだろうと誰もが怒った。
 『エ〜イ原発なんて……』と言いたくもなる。

 原発取り組みは、2030年の総発電量の50%を原子力発電が担うとした鳩山政権の基本計画にあり、鳩山氏の国際会議での野心的なCO225%削減提案の結果でもある。
 菅前総理は、CO2削減に触れず、原発否定を打ち出した。
 なんと理解不足。無責任。リーダー失格…

 菅氏は、再生エネルギーの風力や太陽光に力を入れると言い放った。
 例えば、2020年に太陽光発電3500万kw設備を稼働させる壮大計画も、電力需要の4%を満たすに過ぎない。
 風力も同様に、現状では全くコストパフォーマンスがない。
 そして両者とも、お天気次第である。
 A級戦犯で日本の元総理・外相であった広田弘毅が詠んだ

「風車 風が吹くまで 昼寝かな」

といかないのがエネルギー消費である。

 今、風力の比率が高いデンマークは、全発電量の1/3を輸出し、ほぼ同量の電気を輸入している。
 いかに発電と消費にズレがあるかが分かる。
 太陽光発電の多いスペインにしても、余った分はモロッコまで輸出している。
 東電と中電の電気のやり取りさえ苦労しているのに、日本がこういった国境を超えたネットワーク構築など、大変である。

 それじゃ原子力をどう考えるかである。

  1. 電気代が今の3倍位になる。
  2. 企業は、高いエネルギーコストを避け海外へ流失
  3. 資源高騰リスクに弱くなる
  4. エネルギー多様性の一つを失う
  5. 科学技術発展の一つを閉ざすことになる
    ex.トリウム原子炉

…etc

 結果的に競争力の弱い、リスクの高い国になり、年齢を問わず就職戦線も不活発となる。
 いやいやそうじゃない。
 自然エネルギー関連の産業や、そこから新技術が出て…もある。

 こうした予測を知った上で、自分たちの主張をする。これが社会人の基本でしょう。
 つまり私たちそれぞれが覚悟すべきなんです。

 私、個人としては、今、原子力発電なしに、日本の将来はなり立たないように思う。
 勿論、徐々に再生エネルギーの比率が上がることは嬉しい。
 だから、今稼働している施設には、想定外という言葉は言って欲しくない。そんな対策をしっかり打ってほしい。
 その上で、日本の存立のために原子力があるのだから、国民が一丸となって、被害者の方々の力になるべきである。復興は全国民の課題である。

理事長  井上 健雄

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