今期が始まってあっという間に3が月が過ぎた。
呆然……
充実していたのか、日々に侵されていたのか…
そこでこの月は、落ち着きを見せて、5人の風流人とともに夏を過してみよう。
梅雨、まだ明けないのに暑さだけは厳しい。そこで涼を♪チリ〜ンに求めよう。
風鈴の 一つ鳴りたる 涼しさよ虚子
松尾芭蕉は、暑気払いとして、賀茂川の川床で酒を夜どおし楽しんだようである。
四条の河原涼みとて、夕月夜の頃より、有明け過ぐる頃まで、川中に床を並べて、夜もすがら酒を汲み涼を追うた賀茂川べりの床涼み
其角は、東京隅田川にかかるいくつかの橋を念頭に橋涼みを詠んでいる。
千人が 手を欄干や 橋すずみ
私は、これこそ京都賀茂川にかかる三条、四条の橋涼みにしたいと思います。
これが大阪となると、道頓堀のそぞろ歩きとなりますが、赤い灯・青い灯で風情に欠けてしまいます。
しかし大阪も、祭と食文化に恵まれています。
大阪の 祭次祭次 鱧の味月斗(げっと)
となります。
夏の祭礼は、生國魂神社から始まって、天神祭、住吉南祭と祭りが続き、この楽しみの極みは鱧料理です。
私の好みは梅酢で戴く鱧ちりに目がありません。誰かご馳走してくれません。
夏もいろいろ見るべき花も多い。紫陽花、花橘、百合、蓮の花、撫子…
撫子なら源実朝である。
ゆかしくば 行きても見ませ 雪島の
厳に生ふる 撫子の花「金槐和歌集」
撫子(なでしこ)の学名Dianthus superbus。
DianthusはDios(ギリシャ神話のジュピターとともに輝くという意味)+anthus(花)で、superbus(気高いという意味)です。気高く輝く花という意味があります。
なんと素晴らしい名前でしょう。私たち一人ひとりもこうありたいものです。
この七月は、まず風鈴で涼をとり、川床の酒・そして橋の川風に涼み、次は祭り祭りでおいしい鱧を戴き、夏の花・撫子を愛でようと思います。
みな様もご一緒しません!
理事長 井上 健雄