先月、誰もがそれぞれの置かれている立場に知らず知らずに多大な影響を受け、正確なまた、長期的な意思決定に歪みを生じさせていると述べた。
そしてリーダーは「やれる」ことをやるのでなく、「なすべき」ことをすべきだと主張した。
しかし「なすべき」ことには抵抗が多い。
その為にネットワーク化とボーダーレス化により、立場の異なる人々とのコミュニケーションと、その合意による応援が必要だとした。
今月は、「ロシア プーチン大統領訪日」の対応ということを考える。
日本は、北方四島返還を悲願としている。
この訪日を北方領土解決のとば口としたい考えである。
しかし、アメリカは、ウクライナ状態からロシアへの政治的・経済的制裁を強めている。
こうした時に日本が日米関係の文脈を超えて、日露対談に臨めるかに懸念がある。
ロシアにしても米欧の対立による苦境、そして国境を接する中国の膨張という脅威に面している。
そこで日本との国交の正常化は、いまロシアにとって望ましいものと考えている。
その上、ロシアにしても東ウクライナを飲み込むより、親ロ派の自治拡大を望んでいると思われる。
こうした綾を知り尽した東独の出身のメルケル首相の調整手腕に期待が寄せられる状況にある。
うまくいけばプーチン大統領の11月訪日に間に合うかもしれないが…
従って日本としては、メルケル首相の努力がうまく行かなくても、アメリカに日露の良好な関係は北東アジアの平和の土台として重要であるということを主張することである。
最近、日本リーダーへの欧米の論調によると、Off targetと第三の矢は、‘的を外している’としている。
なんとか的に当てて欲しいとともに、日露対談を成功させていただきたい。
プーチン大統領の訪日問題を現在の時間軸から離れて、北東アジアの平和という先の時間軸で日露交渉をするということを友好国に理解してもらうことこそが、日本国リーダーの「なすべき」ことではないだろうか。
理事長 井上 健雄