NPO法人イー・ビーイング
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立場主義を超えて

 「立場」という言葉を広辞苑で引くと、

①  立っている所
② その人の置かれている地位や状況
③ 見地、観点、考え方…

等とある。
 ここでいう立場は、②の意味として展開する。
 それぞれの意見や考え方は、この立場ということに深く関っている。
 例えば、日本の首相にしても、アメリカの大統領にしても、そうである。

 安倍首相の立場について考えてみる。
 安倍首相の政策は、大胆でかつ戦略的に見える。
 しかし良く見れば、既得権益者に少しづつの分配をしながら、高級官僚の将来のライフプラン(○○財団等…)に手を貸しているようにも…
 だが安倍首相の凄い所は、‘強い日本’という用語を用い、今、派遣など非正規労働者や非就労者を、エリートともども日本という土俵に繋ぎ、みな一緒にやろうという絵を作りだしたことに特色がある。
 すべてから排除された人も、日本国民である限り、みなが‘強い日本’にあこがれ反対をしないのである。
 心配なことは、右傾化であり、パワーゲームに入ることである。
 ここは国民として来年の統一地方選挙の時には、しっかりと政策判断すべきであろう。

 オバマ大統領の立場、というか近未来の米国大統領の立場について。
 オバマ氏も、今、大多数の白人の考え方に対応し政策を打っているが、今後ラテンアメリカの選挙民15%は、2050年には50%を超えると予測されている。
 とすれば、アジア重視の姿勢もオフショア・バランシング政策において、アジア情勢がどうあれ、ラテンアメリカを中心に政策が打たれることになろう。
 こうした文脈上に、日本が中国に対しどのような外交・防衛路線をとるかを考えねばならない。
 短絡化しないとしても、中国へのクライシスマネジメントをどう構築するかは別である。
 このことは、現在の安倍政権の課題でもある。

 同様に、各企業や団体のトップにしても、それらに続く人々も、その立場に知らず知らずに多大な影響を受けている。
 それを省益とか課益とか○○益といろいろ言われるが、せめて国益、会社益であって欲しい。
 しかし、国際連合等の大きな枠組みにおいては世界益を問われるし、その世界益はどのような国のグループのアドバンテージにあるかを見極める必要もある。
 立位置をしっかり把握し判断することは、かくも難しいのである。

 つまり私たちが気をつけるべきは、日本国民は「できる」ことをやればいいのではなく、「なすべき」をしっかりやることが国の平穏や国民の安寧となるのである。
 「できる」と「なすべき」には、大きなギャップがあり、「なすべき」は、世論の反対や現在の政策との不整合など努力すべき課題に満ちている。
 しかし「なすべき」に着手し実行することが、リーダーの責務である。
 私たち一人ひとりにしても、それぞれの立場でそれぞれのレベルの平安の為に、いまいる立場を守ることにより、自らをガラパゴスにしてはならないのである。
 かつてガラケーと呼ばれた日本の進化し過ぎた高機能携帯(オサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信…等)は、世界標準と異なっており、高価格化し、世界のシェア競争に敗退する原因となったのである。

 ガラパゴス化を免れる為には、ネットワーク化とボーダーレス化と、そして、いろんな人々とのコラボレーションを必要としている。
 従って私たちも自分の仕事の遂行が、ネットワーク化やボーダーレス化(せめて県をまたぐ…)しており、いろいろな人々とのコラボレーションを産み出すものであれば、それは立場主義を超えるものとできる。
 立場主義を超えて、新しい生態系をつくる。そんな仕事を世に贈り出したいものである。

理事長  井上 健雄

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