「現状から脱却する経済理論」って、そんな大上段に構えて展開できるんかい?とみな様疑っておいででしょう。
いや、その通り。
しかし市井の一人、NPOをやっているおじさんの考えるものを示したい。
現状から脱却する経済理論ってものは、その時代、その社会状況から、産み出されたもので、いわゆる時代の子である。
つまり時代・環境等が、変わればその正当性を疑うべきである。
第二次世界大戦後から最近まで(1945-1990頃)、日本は驚異的な復興と成長とバブルを経験した。
こうした状況は、大なり小なり世界的に共通している。(もちろん例外もある)
つまり当時は、インフレの世の中であり、インフレ・コントロールこそが理論の主柱であったのではないか。
基本的にこの時代の硯学の徒が打ち立てた理論は、インフレを制御するものである。
従って、インフレ防止がメインの説となって定着している。
そうだとしたら、私たちは現代の識者の中で、誰に注目すべきか?
乱暴に切り捨てれば、これは簡単である。
『今までの主流でない人、型破りの一匹狼』こそを求めることである。
主流でないということは、インフレ・ターゲットを展開する人である。
政府にとってまた、中央銀行にとっても、インフレ誘導を考える人がリーダーとなるべきである。
特に日銀などは、インフレを極端に恐れるファントム・メナス※となっている。
そして大方の人々は、独立性にもこだわっているようだが、基本的に日銀は政府と一体であるべきだし、「通貨安定」があるとしても「雇用の最大化」も機能として組み込まれるべきである。
統一的な新思潮が主流となっても、当世の人々は、変に賢い。
インフレ・ターゲット政策では三つの問題点が…あるから駄目だとか、ちょびちょびと論を挟む。
そして提案する。改善と称して…
しかしこれらは、基本的に駄目である。
合成の誤謬となるからである。
量的緩和(QE1、QE2、QE3)を打ち出したバーナンキ前FRB議長でさえ、プリンストン大学の教授であったバーナンキ氏と、FRB議長のバーナンキ氏とは異なる。
議長は、教授よりずいぶん考え方を後退させたのだから…
日本の三政策は、統合的に展開されるべきである。
1. | 大胆な金融緩和 | (昨年4月に国債買入れのロケットスタートし2%物価上昇へ順調) |
2. | 機動的な財政出動 | (短期的な財政拡大と中期的な財政再建がポイント。特に後者は、社会保障費と今後の消費税アップが焦点) |
3. | 民間投資を促進する成長戦略 | (今年のダボス会議で安倍首相は、オープン基調講演をし、国家戦略特区の枠組みで既得権益の岩盤を打ち破ると表明) |
これを安倍のミックスと言うようだが、なかなか結構な考えではないか。
今は信じて、成長戦略に向かって行動するときである。
繁栄する経済の為に、国に二つの役割がある。
一つ、平時にポカをしない。
一つ、非常時には新しいビジョンを掲げる。
私たちも頑張ろう!
駄目、駄目。
昨日のやり方、考え方ではうまく行かないのだから―
私たちも新しいビジョンのもとに進もうではないか。
※ファンロム・メナスとは、スターウォーズ エピソード1のタイトルで、目に見えない脅威に踊らされる人。
理事長 井上 健雄