|
|
文化創出者 |
今月のありがとうで述べたMFA(美術学修士)について、もう少し詳しく述べよう。
かつて今後の金の卵とされたナレッジワーカーも、先進国ではもう分が悪い。
あるエコノミストによると、定型業務を担当する会計士・弁護士などは、コンピューターに取って代わられるだろうとしている。
インターネットの発達と、中国、インドを中心とする発展途上国の追い上げが厳しいからだ。
先進国の競争要因が大きく変わってきている。
例えばアメリカでは、この10年間でグラフィックデザイナーは10倍にもなっているし、作家は30%増えている。また作曲家や演奏活動家は50%増えている。
イギリスにおいても、ユニリーバ英国本社では、画家、詩人、漫画家を雇用している。ロンドン北部のサッカーチームは、チーム専属の詩人さえ採用しているのである。
サッカーチームに詩人。これ分かる気がする。
それでは、次の文章を読んでください。この会社分かりますか?
『我々が手がけるのは、アート・ビジネスです。芸術であり、エンターテイメントであり、動く芸術なのです』
分かりましたか。
答えはGMです。あの世界一(or二)の自動車メーカーです。その会社の副会長、ロバート・A・ルッツが言っているんです。それも若者というにはお年を召した、元海兵隊、70代の男の言葉です。
いかに世の中が、人の考え方が、変わってきているかが分かる。
こうした右脳能力は、SAT(Scholastic Assessment Test)大学進学適性試験ではかるより、イエール大学の心理学教授ロバート・スタンバーグが開発しているレインボウ・プロジェクトの方が面白いだろう。
これは漫画の吹き出しを空白にして、自由に書き込ませたり、タイトルだけを与え物語を書かせたり等するものがある。
実験段階であるが、レインボウ・プロジェクトの方が大学入学後、SATの2倍の成果を納めているそうだ。
これらの能力をつける為には、次の6つの力が必要である。
(1)デザイン力 (2)物語り力 (3)全体の調和力
(4)共感力 (5)遊び力 (6)生きがい精神性力
誰ですか、(5)番だけがあるっていう人は……
では、遊びについてパット・ケインに語って貰おう。
「21世紀における遊びは、産業革命以来続いてきた産業社会における「労働」と同じ意味を持つであろう。知り、行動し、価値を作り出すための中心手段である」
どうだろう?こんな風に遊べているだろうか?
かくかように、右脳力がビジネスにおいて、社会において、大変重要視される時代になっている。
これらの能力を駆使して成果を納める人を、『文化創出者』としたのである。
この一文を目にされている皆さんも、それぞれが文化創出者として活躍されることを期待し、今月の挨拶と致します。
理事長 井上 健雄 |
|