今月の言葉
2008年バックナンバー
12月 一日の華を摘め
11月 商店街おこし 〜防災市〜
10月 実りの秋の心得
9月 多面的に観る
8月 文化創出者
7月 正しい成果のために
6月 あと一歩の常識
5月 日本の銀行とグラミン銀行
4月 苦労万歳(2)
みんなちがってみんないい
3月 苦労万歳(1)
モノを大事にそして知のデフレに備えよ
2月 素晴らしき人々と挑む
1月 2008年 イー・ビーイングWay
スモール イズ ビューティフル
正しい成果のために

 山滴り、汗滴る夏。
 元気されていますか。半年が経過し、実りの秋の為の頑張りどころです。
 その頑張りのパフォーマンスを高めるアドバイスです。

 6月のありがとうに、「百聞を基礎に、百見し、百考し、一行する」を教訓としようと書きましたね。
 つまり「一行」の為に沢山の知識を手に入れ、その上で見るべきものは観察し、考えを練って行動しましょうと。
 そこで今月の挨拶では、もう少し深く考察する為に、三賢者の考え方を紹介します。

一つ  「愚者は体験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(オットー・フォン・ビスマルク)

 愚者というものは、自分の体験からしか考えられず、大きな流れとか転換期が分からずに、今までの経験から判断をして失敗する。
 しかし、賢者は自分の経験だけに捉われずに、広く歴史の事実から現在を考察するので、その実行に偏向が少なく、成功する。

二つ  「狐はたくさんのことを知っているが、ハリネズミはどでかいことを一つ知っている」(アルキロコス;ギリシアの詩人)

 沢山知っているとバランスの良い答えを導きやすいのだが、どでかいことを知っている(あるいはそう思っている)奴の方が強い主張をし説得力がある。
 マスコミに登場する人にはハリネズミ型が多いように思うのは、私だけだろうか。
 しかし統計的に予測の精度は、狐人間の方が高いのである。私たちにとって、意見の取捨選択能力が重要なのである。

三つ  「ベイズの定理は、事前確率をもとに、一つか二つの例にもとづいて未来の出来事を予測するものである。わずかのデータから思い切った推測を行うもの。このわずかこそがミソである」(トマス・ベイズ;18世紀イギリスの牧師)

※事前確率(ベースレート)
「地球温暖化が進んでいるか」という質問に対して、ある程度一致した客観的データとして「Yesが90%、Noが10%」という数値があれば、それをベースレートと呼ぶ。
このベースレートをもとに、大西洋のハリケーンの発生数は30個を超えるとか、30個未満と予測するようなことをベイズ分析という。

 この三賢者の教訓と「一行の前に百考をしたか 一考の前に百見をしたか 一見の前に百聞があるか」を統合して、正しい判断というものを書き出してみよう。

1. リンチピン(荷車の車輪の両端に打ち込むクサビ)が何かを見つけることにある。これがないと車輪が成り立たない、判断の前提としている考え方を再確認する。つまり、本当のリンチピンと仮説を峻別することにある。
2. 直感を大事にする。 −百聞・百見・歴史などを理解し、考察した上で−
3. 直感のバイアスをベイズの定理等で加減する

 こうして記述すると、大変な時間を使うように見えるが、そうでもない。例えば、将棋の名人など瞬時に数10手から数100手まで読んでしまうのだから。
 つまり、時間をかけずスピーディーにこの流れを実現できるのが、プロフェショナルなのである。

 さぁ、プロの真髄を見せてください。
 『正しい判断は、正しい行動を産み出し、正しい成果を創る』を今月の挨拶としたい。

(注) この挨拶は、今月のありがとう「一つの行動のために」と併せてご賞味ください。それぞれ単品では、意を尽せてないのです。文章力の不足を反省しつつ…


理事長  井上 健雄
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