今月の言葉
2008年バックナンバー
12月 一日の華を摘め
11月 商店街おこし 〜防災市〜
10月 実りの秋の心得
9月 多面的に観る
8月 文化創出者
7月 正しい成果のために
6月 あと一歩の常識
5月 日本の銀行とグラミン銀行
4月 苦労万歳(2)
みんなちがってみんないい
3月 苦労万歳(1)
モノを大事にそして知のデフレに備えよ
2月 素晴らしき人々と挑む
1月 2008年 イー・ビーイングWay
スモール イズ ビューティフル
日本の銀行とグラミン銀行

 私は、最近日本の金融を憂うる者で、珍しく銀行についてのコメントを記すことにした。
 日本では、ビッグ・バンクの復権が始まっているらしい。本当に空白の15年を克服したかは、疑問も多いのだが……
 晴れた日には傘を貸し付け、雨の日には傘を取り上げる。金持ちの味方銀行と呼ばれていたが、どうだろう。
 それら銀行が公的資金の返済をしたかと思えば、1,000人単位の大量採用をし、10人単位の配属で坐る席もない支店に押し込む。いずれ大量退職となるのではないだろうか。

 またJAバンクなんてものもある。定款で貸出先が資本金3億円、従業員300人以下に限定されており、貸出しにハンディキャップがあると不平を言う。
 何を考えているんだ!3億以上の大企業は0.9%、中小企業は430万社もあるんだ。
 本当に世も末だよ。

 とは言え、日本にもいい銀行、いい支店長がいるに違いない。
 そこで銀行マンとのお付き合いを述べておこう。
1. とりあえず現場好きで、現場を歩きまわるトップでいること。
2. コアビジネスに傾注するトップであること。
3. 透明性を高め、アカウンタビリティに努めるトップであること。

 さて真打ちです。
 グラミン銀行という素晴らしいものもある。世の中捨てたもんじゃない。
 2006年ノーベル平和賞受賞。ムハマド・ユヌス氏(チッタゴン大学経済学部長)が1983年、バングラデシュに創設。
 マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした低金利・無担保融資をしている。

 ポイントは5つ。
1. 既成概念ではなく、自分の信念に従う。
2. 性悪説ではなく、性善説を採る。
最近は乞食にまで貸付を始め、乞食はパートタイムになり、その廃業に向けて励ましている。
3. 一過性ではなく、構造的解決を目指す。
4. システムではなく、目的に準じる。
従来のビジネスは株主を儲けさせ、利益を生む。しかしグラミンは、問題を解決することを目的とするソーシャルビジネスである。
5. ビジョンの力を信じる。

 ユヌス氏のこの言葉が彼の性格、その夢を余すことなく語っていると思う。
 「将来『貧困博物館』を作って、子供たちに貧困という骨董品を展示したい」って。
 本当のビジョナリーとはこうあるべきだと、深く感銘したものである。

 既存の勢力を悪く言うのではなく、新しい創造で世の中をよく変えていきたいものである。
 世直し、みなさん一緒にやりましょう。


理事長  井上 健雄
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