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日本の銀行とグラミン銀行 |
私は、最近日本の金融を憂うる者で、珍しく銀行についてのコメントを記すことにした。
日本では、ビッグ・バンクの復権が始まっているらしい。本当に空白の15年を克服したかは、疑問も多いのだが……
晴れた日には傘を貸し付け、雨の日には傘を取り上げる。金持ちの味方銀行と呼ばれていたが、どうだろう。
それら銀行が公的資金の返済をしたかと思えば、1,000人単位の大量採用をし、10人単位の配属で坐る席もない支店に押し込む。いずれ大量退職となるのではないだろうか。
またJAバンクなんてものもある。定款で貸出先が資本金3億円、従業員300人以下に限定されており、貸出しにハンディキャップがあると不平を言う。
何を考えているんだ!3億以上の大企業は0.9%、中小企業は430万社もあるんだ。
本当に世も末だよ。
とは言え、日本にもいい銀行、いい支店長がいるに違いない。
そこで銀行マンとのお付き合いを述べておこう。
1. |
とりあえず現場好きで、現場を歩きまわるトップでいること。 |
2. |
コアビジネスに傾注するトップであること。 |
3. |
透明性を高め、アカウンタビリティに努めるトップであること。 |
さて真打ちです。
グラミン銀行という素晴らしいものもある。世の中捨てたもんじゃない。
2006年ノーベル平和賞受賞。ムハマド・ユヌス氏(チッタゴン大学経済学部長)が1983年、バングラデシュに創設。
マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした低金利・無担保融資をしている。
ポイントは5つ。
1. |
既成概念ではなく、自分の信念に従う。 |
2. |
性悪説ではなく、性善説を採る。
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最近は乞食にまで貸付を始め、乞食はパートタイムになり、その廃業に向けて励ましている。 |
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3. |
一過性ではなく、構造的解決を目指す。 |
4. |
システムではなく、目的に準じる。
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従来のビジネスは株主を儲けさせ、利益を生む。しかしグラミンは、問題を解決することを目的とするソーシャルビジネスである。 |
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5. |
ビジョンの力を信じる。 |
ユヌス氏のこの言葉が彼の性格、その夢を余すことなく語っていると思う。
「将来『貧困博物館』を作って、子供たちに貧困という骨董品を展示したい」って。
本当のビジョナリーとはこうあるべきだと、深く感銘したものである。
既存の勢力を悪く言うのではなく、新しい創造で世の中をよく変えていきたいものである。
世直し、みなさん一緒にやりましょう。
理事長 井上 健雄 |
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