理事長 井上 健雄
土対法(土壌汚染対策法)は、H22年4/1改正法が施行され、H23年7/8には改正規則も施行されている。
この改正に伴う企業のここ3年の動きをまとめてみる。
その前に、土対法の目的を整理する。
- 土壌汚染状況の把握
- 人の健康被害の防止
- 土壌汚染対策の実施
- 国民の健康を保護する
土対法の現在の適用法令
- 有害物質使用特定施設の廃止時(法3条)
- 3000u以上の土地形質変更で、都道府県知事が土壌汚染の恐れがあるとした場合(法4条)
- 健康被害が生ずるおそれを都道府県知事が認めた場合(法5条)
この3条件以外に、法14条の規定により、自己申告で汚染土地の区域指定を申し出ることができるとしている。
現在、土対法汚染調査の90%が自主調査であり、これらを法の枠内に取り込めるようにしている。
調査契機 | 件数 |
---|---|
法第3条 | 266( 92) |
法第4条 | 287(123) |
法第5条 | 0( 0) |
法第14条 | 379(112) |
法第4条・14条 | 21( 2) |
注:( )内の数字は指定解除された数
これら法改正により、形質変更時要届出区域に指定された土地は4倍に増えている。
これは、逆に表現すると掘削除去から原位置封じ込めや不溶化などが対策としてとられたことを意味する。
その他いくつかの気付き点を記す。
1)汚染土壌の搬出等に関して事前届け出、運搬、処理の基準・規則、処理業の許可制、管理票交付と保存義務など、かなり厳しいものになり、運搬に係る責任を受託者に求め、委託者の責任の軽減となっている。
2)自然由来の土壌汚染のものを動かせば、人為的汚染と追認している。
なぜなら搬出規則を創設するとしても、搬出のために掘削という人為が加えられるからである。
3)自然由来調査について密度緩和がされており、一般的に調査対象土地の最も離れた2つの30m四方の格子状区画内の各1点、つまり2地点の試料採取で良いとしている。
4)指定調査機関制度に関する経過期間終了により、1700機関程度から2013年3月末には450機関位になると推定されている。いい傾向とは言えない。
これら以外にも措置命令等不利益処分通知など、土対法は相当な変化をして複雑化しているので、企業は今後も法適用の動向に注意が必要である。