NPO法人イー・ビーイング
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レジリエンスを鍛え2016に生きる

 レジリエンスという言葉が、静かに注目されつつある。
 強靭という意味で、不安な社会をしっかり生き抜く智慧のようなものだ。

 つまり今の世の中、激甚災害、地球温暖化大異変、テロそれに続く難民問題等々、不安の種は次々と出て大きくなる一方である。
 その上、中東分裂、EU亀裂、北朝鮮原発実験、中露の軍事膨張主義等々どれ一つとっても大クラッシュを引き起こす可能性がある。
 連鎖的に危機が拡大する可能性を抱えている。

 とすれば、私たち一人ひとりにとって自己の強靭さ、レジリエンスをしっかりつくってこの世に対処していかねばならない。
 そこで、レジリエンスを持って生き抜いた二人を辿る。

 一、アウシュヴィッツ生存者、ビクトール・E・フランクル。
 彼は日々の生存も、一日先のことなど全く見えない時に、日々を超えた大きな具体的な目標を描いたのである。
 『戦後、強制収容所で過ごした心理状態を人前で講演している自分を想像した』のである。
 どうしようもない状況にあっても、どうしようもない運命にあっても、自分の人生の意味を見い出せることを発見したのである。

 二、2001年9.11、世界貿易センターへのテロにおけるリック・レスコーラ。
 当時、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター(以下モルガン・スタンレー)は貿易センターの最大のテナントで、2700人もの人々が働いていた。
 それも南棟の43階から74階までの32階分まで使っていたのに、7人の従業員を失うだけですんだのである。
 これにはセキュリティ担当副社長のリック・レスコーラの果した役割が大きい。
 彼はベトナム戦争の退役軍人であり、勲章も受けた人物で、大災害に巻き込まれた時、人々がどう行動すべきかについて徹底的に訓練を課していたのである。
 職責からか、彼が7人の一人であったことは、大変残念なことである。
 しかし彼の業績は高い。
 モルガン・スタンレーは、職場が使えない時に備え、従業員が一堂に集まって執務できる予備オフィスを3つも確保していたのである。
 たぶん9月10日までは、心配しすぎの無駄金使いと呼ばれていたであろうが、9月12日以降は、天才になった。

 つまりレジリエンスの高い人とは、次の三つの能力を持っている。

  1. 現実をしっかり受け止める力
  2. 人生がどんな状況であれ、なんらかの意味があるという強い信念
  3. 超人的プリコラージュ(即興力)、臨機応変の才能

 私たちもこれらの順番どおりの理解をすることが求められている。
 最初からプリコラージュで始めると、本質的な解決につながらないだろう。
 2016年1月のありがとうを、厳しい現実に対し私たちのあるべきレジリエンスについて言及した。

理事長  井上 健雄

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