土壌調査・対策手順等第三者評価基準
(目的)
第1条
本基準は、特定非営利活動法人イー・ビーイング(以下「本法人」という)が土壌第三者評価(以下「評価」という)を実施する際の、土壌調査・対策機関が行なった土壌調査・対策の手順、ならびに土壌調査・対策関連技術の効果等検証の手順の第三者評価基準について定めたものである。
(地歴調査等)
第2条
調査・対策にあたっては、対象地及びその周辺地域の地歴等の調査を行い、土壌汚染の可能性がある特定有害物質等やその範囲、対象地の地質特性等を把握したうえで、調査・対策の設計を行うこと。
2
具体的には、下記の項目について調査を行うこと。
(1)
対象地及びその周辺の使用履歴(登記簿謄本、住宅地図、航空写真、対象地の使用者及び周辺の住民等からの聞き取り 等)
(2)
対象地の造成記録
(3)
対象地において使用されていた特定有害物質等及びその使用場所、使用方法、保管場所、保管方法、配管等(建物配置図、取扱品目、業務マニュアル、対象地の使用者等からの聞き取り 等)
(4)
対象地の埋設物(配管、地下施設等)の位置
(5)
対象地及びその周辺における地下水の利用状況
(6)
対象地及びその周辺の地質、既存の土壌・地下水調査結果等
(7)
その他、調査・対策の設計を行う上で必要な事項
(試料採取地点等)
第3条
本基準第2条に定める地歴調査等の結果をふまえ、比較的高濃度の土壌汚染が懸念される地点等、対象地の土壌汚染状況を把握するのにふさわしい地点及び深度で試料を採取すること。
(特定有害物質等の濃度)
第5条
特定有害物質等の濃度については、下記の書類が添付されていること。
(1)
計量法に定める環境計量証明事業所(濃度に限る)発行の計量証明書
(2)
ダイオキシン類については、特定計量証明事業所発行の計量証明書
(3)
公定法以外の手法を用いた場合は、定量結果に加え、公定法との相関を示した論文等の書類又はそれに準ずるメーカーパンフレット等
(対策工法)
第6条
汚染の程度、特定有害物質等の特性や対象地の地質、地下水の流動と利活用の実態等をふまえ、有効な対策工法を選定すること。
2
対象地の今後の利用計画、対策に係る期間、コスト等をふまえ、合理的な対策工法を選定すること。
(設計・施工管理)
第7条
土壌汚染の範囲や特定有害物質等の特性、地質、対策工法の特性(影響範囲等)等をふまえ、十分な効果が得られるよう設計を行うこと。
2
施工中は適切な管理を行い、対策の効果の確認を行うこと。計画通りの効果が得られない等の場合は計画を見直すこと。
3
施工後の一定期間、効果が持続することを監視、確認すること。
(拡散防止)
第8条
調査・対策にあたっては、土壌汚染を拡散させないように十分注意すること。
2
試料採取にあたっては、以下の点について注意すること。
(1)
遮水層を不用意に貫通しないよう、注意すること。
(2)
埋設物を破損しないよう、あらかじめ埋設物の位置を確認したうえで、十分に注意すること。
(3)
使用した機器は、その都度洗浄すること。
3
汚染土壌の掘削にあたっては、以下の点について注意すること。
(1)
雨中の掘削は避けること。
(2)
汚染土壌の飛散に注意し、必要に応じて囲いや散水等を行うこと。
(3)
汚染土壌を仮置きする場合は、底面にシートを敷き、上面をシート・テント等で覆うなど、汚染土壌の飛散や特定有害物質等の揮散を防止すること。また、仮置きの土量はできるだけ少なくすること。
(4)
汚染範囲内で使用した重機・車両、作業員の衣服等に付着した汚染土壌を対象地外へ移動させないよう、洗浄を行うこと。排水については水質を測定し、適切に処理すること。
(5)
必要に応じて地下水の水質測定を行うこと。
(6)
廃棄物等、汚染土壌以外のものが発生した場合は、適切に分別し、処理を行うこと。
4
汚染土壌の運搬にあたっては、以下の点について注意すること。
(1)
揺れ・振動等による汚染土壌の飛散・こぼれ等がないよう、対策を施した運搬容器・運搬車両を使用すること。
(2)
含水率が高く、運搬中に水分の分離や泥状化の可能性がある場合は、荷台に防水対策を施す、容器等を使用する、脱水する等の対策を施すこと。
(3)
汚染土壌の飛散や特定有害物質等の揮散の防止、防臭、降雨対策のため、シート等で荷台を覆うこと。
(4)
汚染範囲内で使用した運搬車両に付着した汚染土壌を対象地外へ移動させないよう、洗浄を行うこと。排水については水質を測定し、適切に処理すること。
(5)
あらかじめ決められたルートで運搬し、走行時も随時、積載状況を確認すること。
(技術の検証)
第9条
調査・対策関連技術の効果等の検証にあたっては、以下の点について注意すること。
(1)
技術の特性や検証したい効果等をふまえ、ふさわしい検証方法を選定すること。
(2)
技術の特性や検証したい効果等、実際に技術の適用が見込まれる土質・汚染物質等をふまえ、検証にふさわしい試料を選定すること。
(3)
正しい検証結果が得られるよう、検証手順の設計を行うこと。
(4)
検証のための調査・試験にもとづき適切に結果を導かれていること。
(5)
検証中は適切な管理を行い、検証結果の確認を行うこと。
(考察)
第10条
調査・対策・検証中に適宜考察を行い、以後の調査・対策・検証の参考とすること。
2
地歴調査等にあたっては、以下の点について考察すること。
(1)
対象地の土壌汚染の可能性、及びその物質、汚染範囲等
(2)
対象地周辺の土壌汚染の可能性、及びその物質、対象地への影響等
(3)
その他、地質等、調査・対策にあたって考慮すべき事項
3
調査にあたっては、以下の点について考察すること。
(1)
対象地の土壌汚染状況
(2)
汚染原因、汚染機構等
(3)
汚染物質の移動性、拡散要因
(4)
土壌汚染による健康影響
(5)
今後の調査・対策のあり方
4
対策にあたっては、以下の点について考察すること。
(1)
対策後の土壌汚染状況
(2)
土壌汚染による健康影響
(3)
追加調査・対策、今後の維持管理等のあり方
5
技術の検証にあたっては、以下の点について考察すること。
(1)
技術の効果等の有無やその程度
(2)
技術が適用できる土質・汚染物質その他の条件
(3)
想定される効果等が得られない場合、その原因や改善方法等、あるいはそれらの解明に向けての考え方等
(責任)
第11条
評価において、以下のような場合本法人は責任を負わないこととする。
(1)
評価を実施する上でもたらされた土壌調査・対策の報告書に記載されていない事実や虚偽・改ざんがあった場合。
(2)
評価時点以降に本法人が有効と判断した研究結果や技術、評価時点以降に有効となった法規制等に対する瑕疵があった場合。
(3)
評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日油類や廃棄物等、法及び条例又は指針の対象物質以外の物質による汚染が判明した場合。
(4)
調査時及び対策完了時等の試料採集地点が適切に選定されており、評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日試料を採集していない地点で汚染が判明した場合。
(5)
技術評価の結果、有効であると判断された技術で、技術の検証に用いられた手法とは異なる手法によって施工された場合。
(6)
技術評価の結果、有効であると判断された技術で、技術の検証に用いられた土質・汚染物質等とは異なる土質・汚染物質等に対して施工された場合。
(7)
評価の結果、土地の売買や賃貸等の経済的行為が発生し、後日汚染が判明した場合。
(8)
評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日近接する土地から汚染が広がった場合。
(9)
掘削除去に伴う埋め戻し、盛土等の対策時に用いられた土壌が汚染されていた場合。
(10)
自然由来物質に関しては、原則的に法における「土壌中の特定有害物質が自然的原因によるものかどうかの判定方法」に準拠するものとし、それ以外の判断基準を設けた場合。
2
評価において、対策施工時の処理手順(例えば汚染土壌の敷地外搬出先での処理方法)等に関する技術評価は行わない。
(変更)
第12条
本基準は、土壌第三者評価基準委員会による協議を経て、過去の依頼者に断りなく見直し、変更することがある。
附則
本基準は、平成17年9月1日より施行する。