土壌第三者評価基準
(目的)
第1条
本基準は、特定非営利活動法人イー・ビーイング(以下「本法人」という)における土壌第三者評価(以下「評価」という)の基準について定めたものである。
2
本評価基準の目的は、安全で健全な土地取引が行われることであり、具体的には本法人に対する評価の依頼に対し、評価の範囲ならびに基準を明確にすることにより、依頼者にその有効性を示すことである。
(評価の対象)
第2条
評価の対象は、原則として評価対象地に関する土壌汚染調査及び対策業務の報告書、並びに土壌汚染調査・対策関連技術に関する効果等の検証業務の報告書(以下「報告書」という)であり、対象となった土地そのものの評価を行うものではない。
2
報告書に対して疑義が生じた場合は、依頼者や調査・対策機関等に対して質問状を送付し、回答を得る。
3
必要に応じて、対象地や採取したコア等の視察や、依頼者、調査・対策機関への聞き取り等を行う。
(評価の対象物質等)
第3条
評価の対象物質は、以下の通りとする。原則として、報告書に記載されている物質は全て対象とする。
(1)
土壌汚染対策法(以下「法」という)に定める特定有害物質
(2)
都道府県条例(以下「条例」という)に定める物質(ダイオキシン類等)
(3)
鉱物油・動植物油に関する物質
(4)
その他、法・条例での規制対象外であるが、汚染要因となりうる物質
(5)
その他、依頼者が評価を希望する物質
2
技術評価においては、各種検証結果についても対象とする。
(調査・対策実施機関)
第4条
調査の評価にあたっては、法に基づく指定調査機関により調査が実施されているものを対象とする。
2
対策の評価にあたっては、法に基づく指定調査機関の調査結果に即して施工が行われているものを対象とする。
3
前第1項及び第2項に該当しない場合は、調査・対策機関の技術責任者に対して技術レベルの照会を行い、評価を実施するか否かを土壌第三者評価員の合議により決定する。
(技術基準)
第5条
技術基準は、原則として、平成15年2月以降に実施された土壌調査・対策については法、平成15年1月以前に実施された土壌調査・対策については土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針及び同運用基準(以下「指針」という)、及び条例の技術基準によることとする。
2
鉱物油・植物油等、法規制がない等の理由で技術基準を定める必要がある場合は、土壌第三者評価基準委員会の決議により決定する。
3
詳細については、「土壌調査・対策手順第三者評価基準」に定める。
(評価項目)
第6条
調査・対策の評価にあたっては、主に以下の項目の適切性等について検討を行う。
(1)
対象地の使用履歴、造成記録、特定有害物質の使用履歴等の把握
(2)
土壌汚染の可能性の判断
(3)
調査区画、試料採取地点の選定
(4)
汚染原因・汚染機構、隣接地への影響、健康影響等についての考察
(5)
対策方法の選定
(6)
調査・対策の施工管理
(7)
計量証明書等との整合性
(8)
法・指針・条例への適合性
(9)
対策終了時の確認とモニタリング等の維持管理方法
(10)
対策後の土壌汚染状況、維持管理、隣接地への影響、健康影響等についての考察
2
技術評価にあたっては、主に以下の項目の適切性等について検討を行う。
(1)
効果等の検証方法の選定
(2)
検証の手順
(3)
検証時の管理
(4)
計量証明書等との整合性
(5)
法・指針・条例への適合性
(6)
検証結果についての考察
(7)
技術の適用範囲
3
上記のほか、健康影響評価、自然由来判定、鉱油類の評価等、評価目的に応じて評価を行う。
(評価の内容)
第7条
調査・対策の評価においては、対象地の汚染状況に関し、以下のように記載する。ただし、調査・対策の適切性や妥当性等に応じ、「−」を加える場合もある。
(1)
【Land-Eco-White】
汚染のない土地の場合
(2)
【Land-Eco-Green】
浄化済みの土地の場合
(3)
【Land-Eco-Blue】
被覆、封じ込め等の対策により、健康リスクを低減させた場合
(4)
【Land-Eco-Yellow】
自然由来物質が存在する土地の場合
(5)
【Land-Eco-Brown】
汚染された土地、浄化処理中の土地の場合
2
技術評価においては、検証に使用した試料の汚染状況に関し、以下のように記載する。ただし、検証の適切性や妥当性等に応じ、「−」を加える場合もある。
(1)
【Land-Eco-Green】
浄化される場合
(3)
【Land-Eco-Blue】
被覆、封じ込め等の対策により、健康リスクが低減される場合
(4)
【Land-Eco-Brown】
浄化や健康リスク低減の効果がない場合
3
調査・対策ならびに検証の手順や手法・技術の適切性ならびに妥当性に関し、その理由を明記した上で以下のように記載する。
(1)
【適切に行われている】
(2)
【部分的に適切ではない】
(3)
【適切に行われていない】
4
上記にあてはまらない評価結果については、総合評価において記載する。
(土壌第三者評価報告書)
第8条
土壌第三者評価報告書は、以下の内容について記載する。
(1)
土壌調査・対策ならびに検証の内容
(2)
評価結果
(3)
土壌第三者評価員の見解・意見
(評価の責任範囲)
第9条
評価において、以下のような場合本法人は責任を負わないこととする。
(1)
評価を実施する上でもたらされた報告書に記載されていない事実や虚偽・改ざんがあった場合。
(2)
評価時点以降に本法人が有効と判断した研究結果や技術、評価時点以降に有効となった法規制等に対する瑕疵があった場合。
(3)
評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日油類や廃棄物等、法及び条例又は指針の対象物質以外の物質による汚染が判明した場合。
(4)
調査時および対策完了時等の試料採集地点が適切に選定されており、評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日試料を採集していない地点で汚染が判明した場合。
(5)
技術評価の結果、有効であると判断された技術で、技術の検証に用いられた手法とは異なる手法によって施工された場合。
(6)
技術評価の結果、有効であると判断された技術で、技術の検証に用いられた土質・汚染物質等とは異なる土質・汚染物質等に対して施工された場合。
(7)
評価の結果、土地の売買や賃貸などの経済的行為が発生し、後日汚染が判明した場合。
(8)
評価の結果、調査・対策が適切に行われていると判断され、後日近接する土地から汚染が広がった場合。
(9)
掘削除去に伴う埋め戻し、盛土等の対策時に用いられた土壌が汚染されていた場合。
(10)
自然由来物質に関しては、原則的に法における『土壌中の特定有害物質が自然的原因によるものかどうかの判定方法』に準拠するものとし、それ以外の判断基準を設けた場合。
2
評価において、対策施工時の処理手順(例えば汚染土壌の敷地外搬出先での処理方法)等に関する技術評価は行わない。
(評価基準の見直し)
第10条
評価基準は、土壌第三者評価基準委員会による協議を経て、過去の依頼者に断りなく見直し、変更することがある。
(苦情・紛争・異議申し立て)
第11条
依頼者、住民、有識者等より苦情・紛争・異議申し立てが生じた場合は、「苦情の取扱規約及び手順」に基づいて対応する。
2
評価された案件について再度評価依頼があった場合は、別案件として評価する。
(機密保持義務)
第12条
本法人は評価において依頼者から開示された機密を、依頼者の承諾なしに第三者へ開示、提供または漏洩しない。
附則
本基準は、平成17年9月1日より施行する。