良い仕事の系譜(その2)-前月の挨拶の質問を受けて- 【11月】
2023/12/11(月)
前月(R5 10/15発行)の「良い仕事の系譜」について、質問を受けたので補足をします。
10月
現代の雨乞いは、飛行機を飛ばし、雲を捜し、黒雲の中にヨウ化銀(×ヨカ化銀 間違っていましたごめんなさい)を噴射させ、雲を育て・・・
・・・暑さ対策として二酸化硫黄(SO2)で太陽光を遮断しようとする試みである。・・・
◎コメントとして、こうした行動、は神をも恐れないジオエンジニアリング行動であり、地球がガバナンスする長(ヲサ)もいないのに、と書いたことに対して、
質問:たかがこれ位の取組みに対して、科学技術を信じない考え方じゃないか。
「ジオエンジニアリングとか訳の分からないことを言って」・・・神をも恐れないとかの表現は、「空が落ちてくるって心配した杞の国の人みたいですね。」
こんな意見をいただきました。
言われればおっしゃるとおりかもしれませんが、「私の真意をもう少し説明した方がよかった」と考え、今回は10月の挨拶の質問を受けてとしました。
〔ジオエンジニアリング対応について〕
今の温暖化の進行速度はあまりにも早く、地球というグローバルコスモスのバランスを支える9つのサブシステム特定し、今地球にどれ位の余力があるというものを示す、プラネタリーバウンダリーによると、生物多様性は、ここ20年で68%を喪い(地球環境レポート2020年より)としているし、窒素生産においても、限界値4,400トンに対し、1憶5,500に達していたりと、悪化の速度が速まっています。
地球は、46億年の歴史の中で、今まで5回の生命の大量絶滅を経験しておりますよね。
そして、今の人為的要因による地球温暖化は、地球の生命を大量絶滅させる可能性が高く、「第6次生命大量絶滅」の原因になるのではないかと言われています。
それも、5次の生命大量絶滅の原因であった隕石ではなく、私たちの生活やそのライフスタイルこそが、その原因になろうとしています。
そして、貧しい国の人々も良い生活を願っておりますし、しかるに、自分たちの責任ではない温暖化被害として、生活の場を破壊しかねない海面上昇や、降雨の変調による作物の不作にまで、見舞われだしているのです。
こうした時、温暖化の窮余の一策として、登場するのが冒頭に述べたジオエンジニアリングでなかろうかと、思うんです。
そこで、自然現象のピナツボ火山爆発に伴う諸々の温暖化低減について、追記します。
1991年4月2日フィリピンにあるピナツボ火山の鳴動が始まり、2か月後の6月15日に大噴火しました。
この大噴火で、灰、岩、溶岩が流れ出し、周辺地域を覆い尽くし、その上同じ日に台風(Yunya台風)までが上陸したのです。
この噴火、洪水により、フィリピンの人々20万人以上の家庭を破壊し、地球の温度は、一時的に0.5度下がり、人為的な地球温暖化の影響を一掃させたのも事実なのです。
この時ピナツボ火山は成層圏に2,000万トンほどの二酸化硫黄(SO2)を注ぎこんだのです。
これは、この時まで、人類が大気層に蓄積させた二酸化炭素5.850億トンほどを、相殺する効果もあったのです。
この二酸化硫黄は日陰を作り、数年間にわたり太陽からの輻射を2~3%暗くしてくれたのです。
これは良かったといえるかもしれません。
その一方で、成層圏のオゾンの水準を低下させ、南極上空で見られるオゾンホールを創り出し、オゾン枯渇さえ起こしたのです。
また、この火山噴火は、乾燥期のはじまりに一致もしているのです。
この大噴火が、恐ろしい状況を連れてきたとも言えるのです。
再度温暖化に戻りますが、高緯度に暮らす人にとって、数度温かくなることはそう悪い話ではありません。
IPCCの主張する「温度1.5℃上昇に抑える」という目標は、すべての人が納得したものではありません。
「今日の温度でいいじゃないか」と人は言います。
これを書いている私の今日は、11/8 立冬です。樹木へのこも巻きが始まり、啓蟄まで巻かれていることになります。でも立冬なのに、昼下がりは22℃を超えています。
虫さんは、越冬より暑くて蒸しあがってしまいますよ。
立夏より暑いくらいです。
「一人ひとりにとって正解が異なる適温コントロールをどう考えるか」
これが、地球の大課題です。
だから、地球長(ヲサ)が、ガバナンスする体制なしに、温暖化の緊急対策としてジオエンジニアリングに挑戦すると、「〇×火山の爆発誘導がよいとか・・・」の意見になりかねません・・・。
地球全体の為にどうあるべきを考え、対処できる人や、組織立てや、歴史や、気候の深い分析なしに、突き進むことは、逆に地球の破壊を招く可能性もあると、申し上げたいのです。
こうした考え方のもとに、正しいソリューションを創り出そうとしているひとこそ、現代の良い仕事の系譜の人になるかと考えます。
こういった人々が、いろんな局面においてリーダーシップを発揮できる社会をみな様とご一緒に築いていきたいのです。
理事長 井上健雄