良い仕事の系譜 【10月】
2023/10/15(日)
人類は基本的な社会構造である集団をつくり、生活を営んできた。
集団にはリーダーがいた。
それらは集団の中で、戦さに強い者だったり、年長者で作物の育て方等に詳しいものであったり、異能をもって予言をしたり、病気を治したりするシャーマンのような人々であった。
それらを統括するリーダーが、長(ヲサ)と呼ばれ、長(ヲサ)は、いろいろ迫りくる危機に、それぞれの異能者を中心に対処していたのである。
例えば、雨が降らない時に、シャーマンは、白装束に髪を振り乱して雨乞いの呪文を唱えたものである。
降れば、村の祝祭日とし、日々の苦労を忘れる日としたのである。
降らなければ、長(ヲサ)がシャーマンの努力を讃えた上で、今を生き延びる為に溜池を持つ大富農の水を、村人に配分する提案を出したりする、智慧を持っていた。
これらは、現代も変わらない。
危機毎に政治のリーダーがそれぞれの専門の省庁に解決を委ねて行われている。
しかし、この対応は、いささか部分的にならざるを得ない。
現代の雨乞いは、飛行機を飛ばし、雲を捜し、黒雲の中にヨカ化銀を噴射させ、雲を育て、雨粒をつくろうとしている。
ここには、地球長(ヲサ)がいない。
「降雨を作る」のような「神を操る」ことは、地球から逆に手痛いしっぺ返し等を考えていない。
米海洋大気局のカレン・ローゼンロフ研究主幹なども心配している。
その上、暑さ対策として二酸化硫黄(SO2)で太陽光を遮断しようとする試みもある。
ハーバードやコーネル大学が取り組み始めている。
このような、人為的に気候に介入する技術をジオエンジニングと呼ぶが、まだまだ断片的で地球のガバナンスができるものではない。
黒雲づくりや、太陽光遮断は、科学の粋かも知らないが、私はシャーマンの行為を否定しない。
だって村人すべての総意で動き、駄目な時の対策を長(ヲサ)が用意して、村人の意見集約に成功していると思うから。
良い仕事の系譜としての、雨乞いのシャーマンと長(ヲサ)に対し、現代の雨乞いや温暖化防止の活動師について触れた。
私は、今のレベルではシャーマンや長(ヲサ)に、拍手したい。
なぜなら、試みに対し失敗もあるとし、試み活動の実をあげる方策も準備し、情報の共有化を企っているからである。
シャーマンや長(ヲサ)ばかり誉めていると、時代遅れと思われるので、最近の技術を活用した良い仕事を紹介する。
ロビー君である。
ロビー君は、ローマ近郊のサンタルチア財団病院で、リハビリを担当するらしい。
彼は、患者と会話したり、色や文字あてレクリエーション等もできる。
彼はヒューマノイド(人型ロボット)で、AI搭載の学習能力に加え、優しくまばたきしたり、ゆっくり話してくれるのである。
これは、一つの朗報となるだろう。
彼はリハビリを担当し、稼いでくれるのだから、たぶん所得税など払ってくれる仕組みを構築できれば、大助かりではないか。
あの新分野への評価の辛いゴールドマンサックスさえ、2035年、ヒューマノイドの市場規模は、23兆円以上と予想している。
これが良い仕事の系譜の一つになるかもしれない。
良い仕事の為には、当然抑えるべきポイントをモデル化し、自分の法則を確立すべきである。
これについては、今後展開したいと考えている。
理事長 井上健雄