学生の頃、帰京による三つの発見 【6月】
2023/6/4(日)
北半球にある日本は、まだ季節がうまく(?)回っている。
春夏秋冬があり嬉しい。
6月の声を聞くと、夏休みが待ち遠しかった。
6月は学生時代にトリップさせてしまうマジックワードです。
先月の挨拶に、子ども時代を登場させたので、今月は大学生です。
私は4年間、横浜・東京で下宿生活をする青年として、いろいろな発見をし、楽しい実りある生活をした。
4年の生活で発見したものの一つは、ふるさとです。
生誕から高校生(大学まで)まで、京都で過ごしていましたが、その頃はふるさととは感じませんでした。
しかし、新しい場所に棲み、生活をすることで、帰る場所として、故郷が登場したのです。
この発見は、結構大きなものでした。
なにかにつけ、京都というものが住みついたのです。
そして二つ目の発見は、夏休みに永遠の時間を見つけたことでした。
(アホ言え。それまでグータラと夏休みを過ごしてきたクセに…)
そうじゃないんです。
はじめ一人ぼっちの生活をし、夏休みに故郷に帰る。
京都での休暇は、今までとは違ったんです。
日常的な京都が異次元の世界を見せてくれたんです。
京に帰り、まずしたことは、一人歩きです。
すきなコースは、加茂川を中心に、上賀茂~植物園~御所~町なかの高瀬川を巡るんです。
そして、八坂さん、清水さんと歩き回る中に、変わらないものが巾を効かす京都を見つけたのです。
永遠という言葉を見つけたのです。
この非日常感は、ちょっと飛躍した表現かもしれませんが、永遠という時間を発見したのです。
三つ目の発見は、東京は、帰る度に新しく街再生として新ビルが建ち続け、まちの様子が一変する地域がたくさんできていました。
翻って、京都はちょこちょこと新しい建物や新名所的なものはできてはいましたが、変化の速さはゆっくりしたものでした。
この発展する東京、停滞する京都という対比でしたが、その時考えたのですが、この対比の勝者は、京都になるような気がしたことです。
変化を見せる東京には新規性ばかりで人を呼ぶ忙しい姿に見えてきました。
一方京都は、町の中心を流れる加茂川を軸にして、北に北山、東に東山、西に西山と山城の国であり、周辺に神社・仏閣があり、真ん中に御所があるという不変の構造で、静かに佇んでいたのです。
その上、京の三大祭りとして、初夏の葵祭り、真夏の祇園祭り、秋の時代祭りがあり、その不動の構造に祭りが、その構造を活き活きさせる装置となっているのです。
面白くファンタスティックな街であることを発見しました。
50年もすれば、この永遠の時間を持つ京都は日本一、いや世界一の観光都市になるだろうと思ったものでした。
なかなかそうはなっていませんが、可能性に満ちていると思います。
私は、街は町としての記憶を持つものだと思います。
その町の記憶が、人々に夢や楽しみ等、不思議な豊かな時間を生み出してくれるのだと考えます。
このような発見が、私をして、京都を中心に、関西に生活拠点を持つことを進めたのです。
そして、変わるものより、変わらざるものの価値に目覚めたのです。
変わらざるものの代表は、自然の山川、木々、花々であり、伝統的な神社・仏閣等であります。
こうした思いが、私が主宰する団体をして、環境問題に取り組ませたのでしょう。
DEI(Diversity, Equity & Inclusion)に関心を持つ由縁かもしれません。
これが夏を迎える6月の思い出です。
理事長 井上健雄