志と知識【12月】
2019/12/3(火)
ある国のある町で、資源ごみ回収のごみ箱が新装された。500個も。その費用は3億円、つまり一個、60万円※(注)もするらしい。ちょっと考えれば、『こんなとこに金をかけるなよ』と言いたくなる。しかしこの取り組みで従来より、年間1億5700万円の費用消減に貢献したと言う。
『えぇーどうして?』
このごみ箱には、センサーがあり、太陽光パネルで発電し無線通信ができるようだ。
つまり、一杯になったごみ箱だけを回収する運用が、できるようになり、週7回以上も回収車を走らせていたものが週2回に削減できたそうだ。
単なるごみ箱から、一杯になったらセンサーが「一杯だよ!」と中央指令室知らせる「ウェブゴミ箱」になったからコスト削減を実現できたのである。
その削減額は1億5700万円となり、2年もすれば投資も回収し、10年も稼動できれば13億円以上のお釣りでてくるのである。これはアメリカ、フィラデルフィア市の成功例である。これにウェブカメラを設置すれば不法投棄も取り締まれるし、地域防犯にも役立つ。
なんか結構づくめでないか。資源ごみを集める前にお金が浮いてくるなんて...
これがIoT(Internet of Things)なんです。
とすれば、マンホールの蓋にセンサーアンテナをつけるだけで、豪雨時に都市浸水を未然に防ぐことも可能になるだろう。
日本でもいろいろな取り組みがある。農業の世界でIoT導入が増えてきて、新しいソリューションを提供し始めている。
例えば、田んぼの水位と水温のチェックは毎日の重要な仕事である。
また、田んぼや畑の栽培作業スケジュールも順序よくやっていく為のスケジュール管理は、外国人の人も増えてきているので必要に迫られている。これらのためにGPS機能やフィールドサーバーが出てきているし、害虫に対してLAMP法(遺伝子検査法)などの提供も出てきている。
5Gの世界に入った今、これらの先端の機器・技術・知識を持って望まなければ危うい時代に入ってきている。
こうした取り組みのある中において、昔ながらのお茶づくりもある。東頭(とうべっとう)という茶園である。昔ながらの方法で標高800mの斜面でお茶づくりをして、100g一万円のお茶を作り、それが飛ぶように売れている現実もある。
だから本当に必要なのは、5GやIoTと言うより情報感度であり、自分のやっていることの一層の完成をめざす志であろうと思う。
※太陽光パネルやセンサーそして発信装置がついたものが60万円になる訳ではない。中央コンピューターで情報集積や最適ロジを決める等の総合システム投資を、ゴミ箱の数で割ったのが60万円になったということである。
理事長 井上健雄