レジリエンス【4月】

2019/4/10(水)

 レジリエンスとは「しなやかな強さ」。
 「疾風に勁草を知る。」という言葉ありますよね。
 強い草とは、強烈な風が吹いた時に分るというような意味です。
 後漢書でしたかね……。
 強い風が吹いても前後左右に揺れるから風にうまく流して、大風のあとも凛然としている。
 そんな対処能力をレジリエンスというらしい。
 もともとは物理用語がさまざまなさまざまな分野で使われるようになってきたと思います。
 「生態系」「心理学」そして「教育」「防災」「温暖化対策」……などなどです。
 今、社会、企業、地域や個々人にとってレジリエンスは大課題となってきています。
 特に東日本大震災などを教訓として政府は、国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)の取り組みを加速させている。
 しかし国の方向はどうもハード中心のようで、そのハードが壊れたらどうするかが弱いようです。
 「津波がくるぞ!」を耳にした時、学校の子どもは?家のおじいちゃんは?夫は?仕事の仲間は?……
 いろいろ心配事は山ほどあるでしょう。
 しかしまず「津波てんでんこ!」自分が避難すべきだと津波災害史研究家の山下文男氏が提唱されている。

てんでばらばらに個々人は高台にむかって逃げろ

 これを最優先すべきだと。
 「津波てんでんこ」が社会、地域、個人の約束毎になっていれば

  1. 自分の命は自分が守る
  2. 自分が逃げれば他者も逃げてくれる
  3. 「てんでんこ」の約束を交していれば、約束していたしと自責感も低減してくれます……

 こんな「津波てんでんこ」、「命てんでんこ」のような言葉、考え方が被害をおさえることになります。
 国のハードプラス地域や個々人のソフト対応がレジリエンスの高い国、郷土、人をつくりあげていくものだと思います。

 オーストラリアの「レジリエンス教育」プログラムを見てみると、日本と同様いじめ問題への対処としてスタートしました。
 そこで本当に大事なことは、いじめられている子、いじめている子だけを対象とするだけでなく、ほかの子ども、クラス全体、先生、学校、地域など多くのシステムの参加者に働きかけて問題解決を計ることだったのです。

 このような考え方を持った上で、個人のレジリエンスは三つのCを充実させることです。
一. コミットメント(commitment)
   どんな状況でも真正面に向き合う。逃げない
一. コントロール(control)
   状況に影響を与える努力をし続ける
一. チャレンジ(challenge)
   変化は当たり前のことと前向きに取り組む

 この三つに加えて問題をチャンスに変える二つのスキルというものがあります。
一. 問題解決型の対処
一. 支えの交流

多くの人々と協働する為には、それぞれの人々との間にある対立や認識のズレを解消することが必要です。その上で仲間と高い目標に向かい助け合い、励ましあわねばなりません。そのためコミュニケーション能力を養成し適切に行動する技術を持つことが支えの交流の基礎となります。

レジリエンスとは、社会全体で問題を受けとめ、その問題に関る成員のすべてが一緒になって問題に対処することで、持続可能性と幸せをつくりだすことだと思います。

理事長  井上 健雄

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