土手坊主【6月】
2017/6/18(日)
子供のお守りをして稼いだ金で売れ残りの松の苗を200本買い、土手に植えた子供がいた。
育ち具合が心配で、いつも土手を見ていた。
人はそれを見て笑い「土手坊主」とあだ名した。
もう一つ。
精米をする時、足で杵を押しながら臼のまわりを歩いて本を読んでいる子がいた。
1回りすれば一節を読み了えるというもの。
そこでのあだ名は「ぐるり一遍」であった。
ある時は、本を読みながら歩き、時には大声で読誦したりしている変な子がいた。
あだ名は「キ印金さん」と呼ばれた。 ※天明の頃です。差別用語ではありません。
サァみなさんは、何回目のあだ名でこの人が分りましたか。
天明7(1787)年7月23日生。
いわゆる天明の大飢餓の頃に生を受けたのである。
5歳の頃、酒匂川(さかわがわ)氾濫、田畑の大半が流失する等、極貧を経験。
報徳思想をもって貧しい農家や藩財政の立て直し等、日本が世界に誇るべき英雄であります。
この三つのあだ名の持ち主こそ、二宮尊徳である。
この土手坊主が、酒匂川に200本の松の苗を植えた時、13才である。
氾濫防止としての植樹である。
なんという慧眼の士であったことか。
私は尊徳さんを尊敬している。
追い追い、この小文で、報徳思想の一端を紹介したいと考えている。
……
身命の長養は衣食住の三つに在り
衣食住の三つは田畑山林に在り
田畑山林は人民勤耕に在り
今年の衣食は昨年の産業に在り
来年の衣食は今年の艱難に在り
年年歳歳報徳を忘るべからず
どうです。この縦軸思想は心に沁みますね。
過去があり、現在があり、そして未来がある。当り前だけど凄いな。
思えば、私が、大学入試の時「独立自尊」について考える所を記述せよというものがあった。
この福沢先生の思想は、尊徳さんの「わが道は人の心という田畑を開墾することなり」の「心田開発」に非常に近しいと考える。
あぁ昔が懐かしいな……
理事長 井上 健雄