「本当に会話する」とは -匠の技で貝語を理解する-【6月】

2018/7/13(金)

  会話とは、二人もしくはそれ以上の主体が、主として言語の発声・手話などによる意思表示によって、共通の話題をやり取りするコミュニケーションとウィキペディアが定義している。
  会話の相手が首脳で、公式的な会話を会談という。

  先ほどのドナルド・トランプ大統領と金正恩労働党委員長との顔合わせによる会話は、どう表現するのだろう。
  お互いが、成果の高い首脳会談と呼んでいるらしいが、私はそれは違うと言いたい。
  最大の争点となった「非核化」が共通の話題であった筈が、何一つ進展ない。
  非核化の定義もなく始められ、お二人の頭、独りよがりの理解でお互いうまくいったと言っている。
  良いディール(取引)だったと思う人、うまく騙せたわいとほくそえむ人…已んぬる哉。
  今後に禍根を残した腫瘍怪談である。

  こうしたひどい会談に対し、いい会話もある。
  「貝(バイ)リンガル」である。匠の技をIT・AIで貝語を知る取り組みである。
  三重県の英虞湾は、真珠養殖発祥の地である。
  宝飾品大手のミキモトの創業者 御木本幸吉が、1893年、真珠の養殖を初めて成功させている。

  この真珠の産みの親、アコヤ貝の強敵は、赤潮である。
  その為に海を見張っておれば良いかというと、目で確認した時はもう遅いのである。
  そこでアコヤ貝の貝殻にセンサーをつけて貝の開閉を計測し、赤潮や貧酸素化、硫化水素の発生を観測する。
  アコヤ貝のもっとも警戒すべきは、ヘテロカプサと呼ばれるプランクトンが引き起こす赤潮である。
  このプランクトンが発生すると、アコヤ貝は、平常は1時間に数回、開閉するだけなのに、頻繁に開閉を行うことが分り、貝語が分る「貝(バイ)リンガル」が実用化されたのです。
  大自然、海の変化により、アコヤ貝がどんなストレスを感じ、どう動くかをこの貝リンガルが私たちに海の環境変化を知らせ、汚染海域(深度も含め)からの避難を可能にし、被害を抑えることに成功している。

  アコヤ貝さんの命を守り、損失も抑え、事業を安定的なものにさせたものは、人の頭と、生物の生きる力をIT・AI等を活用し読み解いたことにあると思います。
  難しく表現すると、ものづくりの未来としてデジタル・トランスフォーメーションが様々なところで稼働し始めてきている。
  先の米朝会談のような不毛の対話は、どこにでもあることです。
  それぞれの組織、事業所において、本当に会話が成立しているか、心せねばなりません。
  事の前に情報を収集し、分析し、PDCAを組み立てていなければなりません。
  会話がもの事を前進させ、二人もしくは取り巻く環境のモラール・生産性等を向上させたかが指標となるでしょう。
  会話を怪話とせず、お互いの生産性を高める会話(快輪)としたいものです。
  今月もありがとう。

※ヘテロカプサ:ヘテロカプササーキュラリスカーマ

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