2007年1月 新年の特別ご挨拶
 2007の信号を読む 
 2007年がどうなるか、凄く楽しみである。
 持続的な景気拡大で戦後最長を記録し続けるであろう。それを下支えする個人消費も、団塊ジュニア (現在31〜35才)800万人の巨大な購買能力により、新しいLOHAS消費を拡大させるだろう。
 たぶん2008年はミニインフレになる可能性まである。そして2009年には、消費税8%くらいになるだろう。
 こうした中で、2007年に押えて置かなければならない問題をまとめてみた。ご意見を賜りたい。


その1

 これからの社会は、格差本格時代に入ることである。ニートは増え、一度落ちこぼれればワーキングプアーになりやすく、結果として犯罪は増加するだろう。そうすると人々は、それぞれの繭に入り始めるのである。
 その繭とは、かつての車という喜びの一人空間から、人々から逃避した家や自分の部屋への引きこもり、 またイジメに加担することでイジメを避けようとするイジメこもりなどが頻発するだろう。
 そして人々は、社会的にもクラス(上流、中流、下流)にこもり始めるのである。 このクラスの移行、特に上位への上昇は大変難しい社会になってきている。 例えば芦屋の邸宅条例のようなものが成立し、ゲートコミュニティという繭作り(コクーニング)をするので、 低所得者や部外者を寄せ付けなくなるのである。

 苅谷剛彦氏の「階層化日本と教育危機」が恐い。



 私は勉強時間の多少が学力を決めると単純には考えないが、 明らかに二極化が進んできていると言わざるを得ない。


その2

 高齢化という高まるものと、日本の人口という低まるものの潮位の変化である。
 これは波ではない。波なら過ぎればまた元に戻る。しかし今後も高齢率はどんどん高くなるし、 人口はどんどん低くなるのである。

 まず高齢を経営問題として検討したい。
 団塊の世代(’47〜’49生まれ)の一線からの退場が始まる。 この世代、670万人ものプレゼンスをもっている。 そして知識・経験等日本の労働力として「優」の人たちである。
 この対策の骨子は、定年延長という物理的手段より、処遇というソフトを充実して 彼・彼女らの知識・経験の継承を進めることにある
 しかしこの世代の退出で困るのは2010年からで、 2007年から困るのは無策にしか過ぎない企業だけであろう……

 政府は2013年には定年65才を義務づけるようだが、 今後は年齢はあまり意味をもたなくなり、能力が問われることになる。
 つまり能力ある人は年齢も雇用も心配などないローリスクで高い報酬・ハイリターンになる時代である。 一方能力のない人は、いつも雇用におびえるハイリスクで 少ない報酬・ローリターンとならざるを得ないだろう
 ここでも先ほどのような2種類の国民が生まれるということになろう。

 次に人口減を経営課題として考えよう。
 現在の総労働時間は、1210億時間。 それをピークに2030年には800億時間になると予測される。 約35%減になる。2007年でも15億時間くらい減る可能性がある。
 この減少がボディーブローになるのは2010年だろう。 つまり、この頃からよほど国外での事業活動を増やすか国内に外国人労働者を入れない限り、 マイナス成長になる要因だ。
 勿論シフトすべきは知財戦略が一番だが、どの企業もそれに乗れるリソースをもてるかは、 難しい課題である。


その3

 憲法改正と教育基本法改正問題である。
 憲法問題は、日本国民が初めて本格的に憲法に正対して創る、本来の意味での自主憲法制定問題である。 他国(強国アメリカ…、異端国北朝鮮…)の影響に踊らされて制定してはならない。
 特に憲法第9条を解釈改憲でいくのか、それとも改定するのかが一番の争点であろう。 そして加憲として、環境権の創設なども考慮されるべきである。
 安倍政権の流れだと、国民は右傾化、軍事化などについて厳しくチェックして行動する必要がある。 こうした憲法改正論議は、市民レベルの集会を通じて5年から10年かけて制定にもってゆくべきであろう。
 
 教育基本法の改正も、将来の日本国を背負って立つ国民をつくる根本的な問題である。
 国旗、国歌も全国民の合意によって納得されるべきである。
 その上で競争原理をどう導入しグローバル競争に期してゆくのか、 また国内での敗退者にリカバリーショットを打てる体制をどうつくるのか。
 このときに、財政負担能力を考えないと、野党のような反対屋にしかならない。 光があれば、影もできる。国の未来と予算を見据えて、光にどんな輝きを与え、 影を如何に小さくするか。このトレードオフは、私たち一人一人がきちんと表明することが大事である。

 皆さん、政治(選挙)にも積極的にコミットメントしましょう。


 今年も皆様のご芳情に恵まれ、良い一年を過ごさせて戴きました。
 来年も一層のご鞭撻ご指導よろしくお願い致します。

2007年 元旦
NPO法人 イー・ビーイング
理事長 井上健雄