2006年10月の言葉
 当たり前シリーズ
      効果的コミュニケーション 
 コミュニケーション能力というと「私は営業じゃないから…」という人がいる。
 この能力は、全てのビジネスマンに要求されているものである。

 スキル分析のおさらいになるが、マネジメントのコアスキルは以下のような変化をしてきている。(ロバーツ・カッツ氏のものに、井上がヒューマンスキルのウェートを高めたものである)



 この図を簡単に説明すると、入社したてとかの青年期には、主にテクニカルスキル(専門能力)を中心に磨きあげて、生産性をあげることが求められている。
 そして成熟期とか地位を高めるにつれて、戦略眼や組織課題形成力などのコンセプチュアルスキル(概念形成能力)の要求度が高くなる。

 ヒューマンスキル、これはいつのステージにも要求される能力であるが、上位職につけば影響を及ぼす場面や異質な人が増えることから、一層の充実なしに仕事の(組織)成果は望めないものとなる。テクニカルスキルやコンセプチュアルスキルがいかに高くても、それを伝え組織の力にすることなしには絵に描いた餅である。

 そのヒューマンスキルのコミュニケーションが、今回のテーマである。
 このスキルは階層がフラットになる程、知的集団ほど、またグローバル化するほどその重要性が高くなるものである。

 では、コミュニケーション能力を高める方法について考察しよう。
 まず発信する為には、インプット能力を磨く必要がある。インプットがあってこそアウトプットがある。

 インプットの基本は、観察と聞くにある。
 観察とは、問題点を発見する能力をさす。つまり、相手にこちらの言いたいことが伝わっているかを視て、質問を投げかけたり補足したり変化をつけたりすることである。
 コミュニケーションは発信者の思いより、受け手の受容がポイントになのである。インプットのために目は二つ、耳も二つあるのである。

 アウトプットの口は一つである。これがアウトプットの為の基本的な心得である。
 アウトプットは、まず相手にどんなソリューションやパフォーマンスを与えるかを考え、それを導き出す為にコミュニケーションするのである。
 これを言い変えると話す前提となる、自分のミッションと役割を十分に理解することである。

 それでは最後に、リーダーのコミュニケーションのポイントをジョハリの窓で整理しておこう。



 1〜4の窓の教えるところは、まずリーダーとして1の共通理解の窓を広げていくことにある。
 その為に2の窓では、フォロワーからの意見を聞くことで自分の盲点を減らすのである。
 そして3の窓では、フォロワーの足りない所を指導・育成し、共通理解を深めるのである。
 また4の窓に対しては、1を広げることで結果的に小さくするとともに、最新の知識の獲得やメンターに師事するなどして、全人格の涵養に努めるべきであろう。
NPO法人 イー・ビーイング
理事長 井上健雄