2005年8月の言葉
 才能 
 「天才とは、1%のインスピレーションと99%のパースピレーションの結果である」
…トーマス・エジソン  この言葉は、誰もが知っていると思う。これについて誤解がある。

 つまり99%の努力(パースピレーション;汗)に焦点があたり過ぎている。本当は1%の発想(インスピレーション)こそが大事だと言っているのである。努力を美化して努力を成功の秘訣のように思うのは、錯覚である。

 この才能の問題について、少し古い例になるが、ディック・フォスベリーを紹介する。

 ディック・フォスベリーとは、1968年メキシコオリンピックの走り高跳び、金メダル受賞者である。彼は中学生の頃、持ち前の足のバネにものをいわせ、はさみ跳びで成績をあげていた。しかし時代は次第にベリーロールに移り、ベリーロールをする人々が記録を伸ばし始めた。そこで大学でもコーチが、ベリーロールの指導をしたが、彼ははさみ跳びしかうまく出来なくて、次第に見放されていく。それでも彼ははさみ跳びで、足の跳ね上げがうまくいかない、お尻がバーにあたる…等々問題毎に工夫を重ねながら、世界で初めて背面跳びを生みだし、金メダルに結びつく。つまり努力を成果に結びつけたのは、思考なのである。

 同様に、人間の肉体的才能によるクマからの逃避反応は、クマからあなたを守るかも知れない。しかし人ごみで酔っぱらいからの逃避は、人を突きとばしケガさせ、警察の厄介になるかもしれない。そして人を見たら泥棒と思う才能は、詐欺や強盗には遭わないかもしれない。しかし、新しい友人に出会ったり、支援をしてくれる人や新しいビジネスパートナーを見つけられない結果ともなる。それぞれに適切なインスピレーションがポイントとなる。

 従って、一つ一つ洞察のもとに問題を解いていく過程こそが大事なのである。そして新発想を得ることにより、異次元のソリューションを手に入れるものだ。(この間の繰り返しの重要性については、フィランスロピー研究所の8月のありがとうを参照して戴ければ、もう少し分りやすいと思う。http://www.phila-ken.co.jp/)
NPO法人 イー・ビーイング
理事長 井上健雄