2005年1月の言葉

 いい2005年のために 

  2005年ののっけからですが、来年(2006)年から総人口が減少していくようです。
 もう既に、生産総人口( 16〜64歳)は1997年をピークに減少しています。
標準世帯(夫婦と子ども)は、1990年の1,517万世帯をピークに、2010年には1,425万世帯と92万世帯、6%の減と予測されています。
 その上、現在では定年でリタイヤする人の方が、就職する人より多い時代です。
 人口動態上、現在の不況もある意味では仕方がありません。
 しかし、その人口の中味をよく見れば、ヒントも見えます。
 これまで消費の原動力であった団塊の世代(1947〜1949)が、いまなお力を持っていることに驚かされます。
 団塊の世代、約800万人は、そろそろ定年を迎えるとしても、金に恵まれたハッピーリタイヤであり、そのかれらと生計を共にするパラサイトシングル(2000年1,262万人)と共に、消費の一大勢力を形成しています。
 ただ、今までの家族単位の消費から個人単位に変わってきていることに注目です。
 その上、十分にモノに恵まれていますから、本物・品質志向は当然として、パスタイム(時間消費)の行動を増やしてきていることに特徴があります。旅行や滞在型リゾートから日常的パスタイムの散歩まで含めて、こうした要因に付随するサービス・モノが消費されるようになります。
 団塊の世代だけでも、これら代表的傾向以外もいろいろな特徴がありますし、その他世代も千差万別です。
 とすれば、マーケティング戦略も特大ホームランではなく、ターゲットにあった単打(ヒット)を重ねて得点を稼ぐことになります。
 ヒットを打つ心得で大事なことは、今までのやり方を変える、止める必要があることです。
 絵で解説すると、(1)破壊→(2)現状分析{(2)→(1)でも可}→(3)新戦略の実行→(4)新文化の創造、という風になります。
(図1)
この新戦略の実行をビールメーカーの競争要因の変化で考えてみると、表1のようになるでしょう。
昔  →
この間まで  →
これから
生産力
×
家庭用販売網
×
ブランドイメージ
ブランド力
×
販売網
×
顧客別販売網
×
財務力
新商品開発力
グローバルな生産体制
ブランド力
サプライチェーンMS
ロジスティックス
顧客別販売網
マーケティング力
CSR
財務力
新リーダーシップ
(表1)
 それぞれの企業において、これからの第三段階の要因を十分な知識と智慧と戦略で組み立てることが必要となります。
 これらは、決して大手企業だけのものではなく、むしろ中小企業にとって重要です。
 今、変化する状況の中で自企業の戦略を適確に設定し、やり遂げることにより21世紀の新しい勝者になれると考えるからです。
 21世紀は素晴らしい可能性に富んでいます。
 しかし、可能性と実現性は異なります。
2表の「これから」で示したように、各自のウイニング・ストラテジーを創造し、確たる地位を築いていこうではありませんか。
NPO法人 イー・ビーイング
理事長 井上健雄