2004年6月の言葉
 眠っている遺伝子を起こそう 
山の色 釣り上げし鮎に 動くかな
原石鼎
 この句は原さんが、吉野川の上流丹生川で、全山緑の渓流で鮎が躍りながら釣り上がってくる状況を詠んだものである。
 今回は、人間の持つ能力の凄さを報告し、皆様の偉大さを称えるとともに、自分自身の励ましともしたい。
人間の細胞一ゲノムの重さは、2000億分の1g。この一ゲノムは、30億字の情報容量を持ち、そのDNAを60兆個をして人間を形づくっている。とてつもない情報の固まりが人間である。
その全遺伝情報の内、タンパク質生成のために使用されている部分はせいぜい3%で、97%が眠っているとされている。それは単なる過去の遺物なのか、将来のために残されているかは全く不明らしい。学者の中には、97%をガラクタだと言う人もあるが、私は目覚めを待っている宝物と考えている。
この遺伝子は、環境や刺激そして意思により、スイッチが入ったり切れたりするものと考える。
ガン遺伝子を持っていても、発ガン回路がOFFになっていれば発病しないし、ガンになったとしても、ガン抑制遺伝子がONになれば、増殖を抑えることが出来る。
このON、OFFは、環境や心の変化で起こると確信している。
日本の研究者はアメリカに行くだけで脳活性させ、業績を残すことも多々ある。
しかし、アメリカの研究者はそうは行かないので、大学や研究所を変える、企業を変える等々、ドラスチックに変化を取り入れて活性化を図っているのでないだろうか。
こうした背景により、転職がキャリアとなる思考を育てたのであろう。人は動く・意欲することで、飛躍するものだ。 アメリカのノーマン・カズンズ氏、50歳は、突然全身の激しい痛み硬直化などを伴う突発強直性脊髄炎という膠原病に襲われいる。
彼は医者に見離されても悲観せず、自分の良いところだけを見、そして漫画やTV等を見て笑い暮らすなどの方法で、病いを克服し、後にカリフォルニア大学医学部大脳研究所教授にまでなっている。
これが、笑いによる自然治癒効果の代表例である。
歩く、動くこと、人との語らいなどで得られる新しい経験こそが成功へと導いてくれるのである。
さあ皆さん。勉強会、社外の集まりに、そして冒頭の句のように自然の旅に出てください。
そして眠っているいい遺伝子がどんどん活性化させましょう。
自分が生きたい人生に没頭すれば、必ず見えざる仏の手が行き所へ連れて行ってくれるのである。
合掌。
NPO法人 イー・ビーイング
理事長 井上健雄