能力の伸びは青天井
2016/5/26(木)
人の能力は、どこかでピークをむかえ、徐々に下降する人が多い。
良くて平原状態を維持する。
しかし私は、人はいくつになっても成長すると思う。
この成長する能力の中身は異なる。
この例を羽生永世名人の言によると、将棋の強い要素として、三つをあげている。
一、読む(数手先から何百手の先まで)能力
二、ひらめき
三、大局観
読みは、若い10~20代位までの人々の特権である。
勉強して、研究して、対局して身につける能力の時代である。
この能力は、若い頃が最高だと言う。
そして30~40代になると、読んで読んだあとの総合的判断としてのひらめきが生まれる。
これが、勝負の決め手となる鬼手とか、○○マジックと呼ばれたりする。
しかし強く勝ち続ける為には、50~70代にかけて醸成される大局観というものがあるらしい。
羽生さんがこの能力をきちんとつけると、大変なことになるだろう。私たちは彼の次元を超えた偉業が待ち遠しい。
つまり能力は、いくつになっても成長するものらしい。
十五世名人大山康晴さんは、読むのでなく局面を眺める感じで、最善手を打たれたという。
この大局観は、読みとひらめきの時代を一流で過ごした人に訪れるものである。
これは他の仕事においても同様だと考える。
読むとかひらめきは大脳皮質の働きだが、大局観になると大脳の基底核の働きだと言われる。脳の中で動いている所が異なっているらしい。
つまり答えだけが浮びあがる状態だそうだ。
だから強い人ほど感性が優れ、美しい棋譜で勝つのである。
「俺は大局観に秀れている」と自慢する人がいる。
若い時代に真剣な研鑽を積んでいない人の大局観は、偽である。
一人ひとりが自分の年代にあった能力に磨きをかけて欲しい。
そこにいろいろな青天井が待っている。