今でしょ!未来のための環境塾に。【7月】

2024/7/12(金)

暑い夏に、暑さに追いうちをかける報道(注1)があった。

 

コペルニクス気候変動サービスによると、6月に今年の5月の平均気温は観測史上最高となり、12か月連続で記録更新したと発表している。年度として少し中途半端となるが、23年6月から24年5月までの年平均気温が産業革命時(注2)より、1.63℃と上回ったと報告している。

この1.5℃を超える熱ストレスは、労働力の大きな消失を齎すと警告している。

この熱ストレスによって失われる労働時間は、2030年までに全世界で2.2%にもなり、フルタイムで働く人数だと8000万人も労働力がなくなり、経済損失して2兆4千億ドル(380兆円)と試算されている。

 

また度重なる山火事が襲うカリフォルニア州では、火災保険が次々と停止され、保険成立ができなくなっている、、、、

その上、温暖化は農業従事者の労働時間を短くさせ作物の手入れ不足や、海面上昇など耕作可能地を少なくさせるなど、食糧不足を起こし始めている。

 

新聞1頁分の3分の1にも満たない量なのに、今述べた他にも、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学などが2023年北半球の夏が過去2000年間で最も暑かったことを証明した。それは、長寿とされ2700年以上生きた樹木の年輪分析による気温復元からの結果である。

こうした努力には頭も下がるし、エビデンスを示されると真摯にその取り組みにリスペクトも抱く。

 

数千年の時間軸の中で、産業革命後のほんの少しの時間がつくり出した急激な温暖化の問題は、少なくともワンジェネレーションでなく、数世代に亘る世代連携における改革意識と、それを社会的実装力とする実力を持った層との連携こそが、必要だと考えている。

 

つまり、世代(15年間位)毎の有権者は、同じような価値観を持ち、政治的な意思もはっきりとしてくる。

ここでは、アメリカのCenter for American Progress(注5)の世代分けから世代構成の変化から考察する。

つまり、アメリカの大統領選の結果は世代別の価値観が大きいインパクトをもたらすものであり、これら世代別のウェイトが変わってくることが変化の芽となるだろう。

特に私は、温暖化抑制に厳しい取り組みを要求するZ世代とミレニアム世代のウェイト変化に、新しいライフスタイル要求が出てくると考える。

これをもう少し深く読み込んでみたのが下記の表である。

 

2020年から2036年にかけて世代のウェイト変遷があり、特に環境問題、CO2コントロールに厳しい対策を要求するZ世代+ミレニアム世代が、有権者として主力に躍り出るのは、アメリカの大統領選の次次選の2028年が分水嶺となるようだ。

 

今年の2024年11月に迎える大統領選はX世代、ブーマー世代が多く、環境派にとって苦戦を強いられそうである。

ただ、現在の30年に1回とか50年に1回といった大災害(大雨、洪水、干ばつ、山火事、、、)がたて続けに起こっている現象を経験したり、報道でよく目にする機会が激増している中で、Z世代を中心に気候正義という言葉が使われ出して早い変化もありうるだろう。

 

気候正義とは、温暖化は自然現象でなく、人為的なもので少数の強者が作り出したものである。

この強者こそが加害者であり、私たち若者はそのツケで苦しんでいる。

これは不公正でかつ社会構造的な暴力であるとしている。

強者は、こうした不正を正し、生態系や人権に配慮した取り組みをすべきだとしている。

こうした考え方のリーダーがグレタ・トゥーンベリである。彼女の一人学校ストライキが全世界に広がったことは、世界の驚きであった。

 

2024年アメリカ大統領選は、バイデン対トランプの対決は、二項対置で言えば、温暖化抑制派 対 リアル炭素賛成派 と評価されるべきだが、そうはなっていない。単なる老老対決でお互いのスキャンダルの応酬に終始している。

 

アメリカの状況に対し、傍観者的に考察するのではなく、私たちも(日本も)このような世代観と共にZ世代に対し、地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)をまずこの世代に知ってもらい、地球の健康(プラネタリー・ヘルス)を創り出す活動を始めて欲しいと思っている。

そして、大学生を中心にプラネタリー・ヘルスへの取り組みを本格化して欲しいと考えている。

そして、各大学での環境負荷を減らすナッジ活動にも取り組んで欲しいと思っている。

大学生が環境低減のためのナッジの提案を、大学当局も社会的実装とはこうだと一緒に活動してほしい。

 

こうした経緯のもとに、大阪市環境局の環境学習活動の一環として「未来のための環境塾」が誕生したのである。

また、僥倖に恵まれて、「いのち会議」さんとの共催になり、その上、大阪大学社会ソリューションイニシアティブさんと、関西SDGsプラットフォーム大学分科会さんまで後援名義をいただけたことなど本当に有難いことです。

この活動への参加は、一人ひとりの大学生を中心とするZ世代と、ミレニアム世代への情報出し活動を強化し、これらの活動とともに、社会的実装力を持つ人々の深い知識や経験を持つ人々の智慧が望まれています。続発する気候異変は、もう「社会課題」ではなく、あなたと私たち一人ひとりの危機なんですから、、、。

 

大阪からこうした「未来のための環境塾」が生まれようとしていることは、関西に住む人々の誇りです。一緒に活動しようではありませんか!

 

こちらから参加の登録をしてください。待っています。

未来のための環境塾サイトへ

 

理事長 井上健雄

 


(注1)日本経済新聞(2024年7月5日朝刊)

(注2)産業革命以前 1850~1900年の平均気温

(注3)IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change) 

「気候変動に関する政府間パネル」

(注4)ILO (International Labour Organization) 「国際労働機関」

(注5)Center for American Progress

 

 

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団体概要ー
2002年3月設立 理事長 井上健雄
産・官・学・民をつなぐ社会的協働体を形成する。
社会的課題解決を企てる協働体を創造する。
主な分野は名前の由来で説明する
"イー"は、エコロジーの"E"を指し、地球環境の生態系を守る。
"ビーイング"は、Well-beingの"B"を指し、誰も取り残さない社会を作る。
英語名は、E-being である。
特に最近では、SDGsについて総合的解決を目指している。

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1.産・官・学・民をつなぐ第三者評価事業 TPAC
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