社会課題にどう取り組むべきか【11月】

2021/12/16(木)

現代社会においては、GDPでは満たされないニーズが拡大している。
GDPは、ハーバード大学の経済学者サイモン・クズネッツが1934年に提唱したものである。
GDPは、一定期間内に国内で生み出されたモノとサービスの総額であるが、このGDP指標もすでに80年余りを経過し、この指標だけでは人々の幸福感などが入っていないので、新指標が求められている。
アラブ首長国連邦は、2016年に、幸福大臣の役職を新設したし、ニュージーランドのグラント・ロバートソン財務相は、幸福予算を編成している。
ロバートソンによると、成功という概念もGDPからもっと広く深いものへの変更が必要だとしている。
ケンブリッジ大学のデビット・ランシマンは、投票権について言及している。
平均寿命の延びによる高齢者優先にならないように、6才以上の人に選挙権を与えるべきだとしている。
これは暴論的だが面白い。結構考えるべき余地もある。日本もこんな教授がどんどん出ればいい…

日本でも、経済社会システム総合研究所会長小林喜光氏は、経済プラス健康や生活、そして持続可能性を確立させるウェルビーイング・キャピタリズム(快適資本主義)を主張されている。
そして、小林氏は、経済のフロンティアが、重さのない世界に移行しているが、日本はこれらの変化に対応できず、日本病に陥っているとしている。
つまり、モノからコトへ。そして、コトから心への変化に対応できていないと言う。
嘗て、重工業化や自動車・電機産業で稼ぎ、成功したが、半導体位からつまずき始め、医薬品、サービスの分野では、世界の後塵を拝している。
世界と同じように商品開発やイノベーションを志しているようで、その取り組みの方法論が、古く、貧しいように感じる。
このように、産業界の動きが、世界にキャッチアップ出来ない中で、気候変動は、社会構造や民主主義の基盤までを崩す勢いにまでなっている。
しかし、こうした課題に直面した時、モグラ叩きのように、表面の課題に取り組むのではなく、構造的な問題にまで入り込み、総合的な状況分析の上、錐のようにスモールな一つのソリューションに入るべきなんです。
こうした巨視的なスケールから個別課題の検討のための一助として、ポール・ホーケンの「ドローダウン」を紹介したい。
この本は、地球温暖化を逆転させる100手法について、述べている。
ポール・ホーケンの著作は、どれも人々を元気づけてくれます。
勿論、突っ込み不足や、不完全な情報もありますが、うまく活用し、それぞれの課題探求のモデル例位に考えて、未来への希望と人間能力への信頼を手に入れる独創的デザインづくりに邁進して欲しいと思います。

理事長 井上健雄

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