日本にロビンフッドは出てくるだろうか? 【8月】
2021/8/12(木)
作成 R3年8月12日
こういう名前をご存じだろうか?
ブルガリア系移民2世のウラジミール・テネフ氏と、インド系移民二世のバイシュ・バット氏である。
この二人こそが操業13年でナスダック上場し(R3 7/29)、時価総額290億$(約3兆円)のロビンフッドという証券会社をつくりあげたのである。
この時価総額は、日本の名門企業、創業から90年以上の野村ホールディングス(1.77兆円)の約2倍である。
前々回にテスラとトヨタを比較したように、今回はロビンフッドと野村ホールディングスを比較すると、アメリカの斬新なビジネスモデルに対し、旧来のモデルの経営は敗退していくように見える。
どんな立派な企業も、どんな秀でた人々も、古いモデルに固執している限り、新時代を切り開くパイオニアの前には無力な存在でしかないのです。
ロビンフッドのやったことは、業界においては全く異例の取り組みだったのです。
「売買手数料無料」を打ち出したのです。
このことは、ある程度の資産を持つ富裕層を対象としたビジネスに、資産を余りもたない10~20代の若者を呼び込み、成功したのです。
若者にゲームをやっている感覚でトレードができるようにし、その上、利用者にテスラ株を1株ずつプレゼント※といったキャンペーンで、爆発的に利用者を増やしたのです。
※参考:テスラ1株といっても、当時のレートで3万円くらいしたものです。
たった一社のこの取り組みは、証券最大手のチャールズ・シュワブでさえ手数料無料化を打ち出すまでの革新につながりました。
もっと特徴的なのは、スマートフォンですべての手続き~実際のトレードの決済まで~が完結する仕組みを提供していることです。
また、暗号資産(仮想通貨)での取引もできるので、一層支持を広げています。
こうした手数料無料サービスはなぜ出来るのか?
それは、トレードのアロケーションをロビンフッドが持っているということにあります。
ロビンフッドは、既存の売買方式(日本なら、東京証券取引所を通じて売買する)ではなく、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーに対し、「あなたの会社から買うようにするから、その分リベートを出してくださいね」。という仕組みを作って、手数料無料を実現させているのです。
さすがスタンフォード大学の数学科卒ですね。
ロビンフッドは、デビッドカードも発行しているので、今後もっとスケールのでかい資産運用会社になるでしょう。
日本でも、ロビンフッドらしきものが出てくることを期待したい。
理事長 井上健雄