ビジネスの世界を甦(よみがえ)らすファインアート【6月】
2018/6/19(火)
現代は、VUCAの時代と言われる。
V:Volatility | -不安定- | U:Uncertainty | -不確実- |
C:Complexity | - 複雑 - | A:Ambiguity | - 曖昧 - |
この4つのキーワードをつなげると、論理的・理性的に振舞うことが問題解決になるかと言えば、怪しいということになる。
これまで論理的スキルは、問題を解決する一番の方法で、MBA卒業生たちが重宝された理由でもある。
それがブーカ(VUCA)時代になると、論理スキルで分析しようにも読めない、分析麻痺を起こしてしまう。
つまり、今まで論理的・理性的な情報スキルが、ブーカ時代に限界を迎えている。
その一、そのスキルで出る答えは正解のコモディディ化となり、差別化を消失させている。
その二、要素還元主義の論理思考アプローチからは、全体を捉えられないからである。
しかし、こうしたブーカ時代に何の策も持たないリーダーが、新しい仕事に取り組むとなると、悲惨なことになる。
せめて論理的思考や分析でもできれば、少しは救いとなるが、そんな素質もなく乱暴なビジネスモデルで猪突猛進、周りは死屍累々となる。
デフォールト(初期設定)が間違った取り組みほどヒドイことはない。
今、世界ではRCAが注目されている。
英国の美術系大学院大学で、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートのことである。
RCAはQS※世界大学ランキングのアート・デザイン分野で世界一(2015年)に選出されている。
そしてここ数年、RCAは企業向けビジネスを拡大させつつある。
「グローバル企業の幹部トレーニング」を設け、フォード、ビザ、グラクソ・スミスクライン等々の将来を担う幹部教育を行っている。
もう遠い昔の2008年から、ハーバード・ビジネス・レビューは、The MFA is the new MBA.という記事を載せている。
企業において、MFA(Master of Fine Arts)美術学修士が求められているのである。
MBAで学ぶ分析的スキルより、MFAで学ぶ統合的コンセプチュアルスキルの重要性が高まっているのである。
時代は「真・善・美」なんだ。特に美意識が求められている。
ビジネス、学習、社会の組み立て、ソリューションもこの方向に進んでいる。
そういえば、ダイソンの創業者、ジェームズ・ダイソンもRCAでプロダクトデザインを学んでいる…
私たちも「美意識」をもって仕事を遂行しようではないか。
※QS:イギリスの高等教育機関の調査会社クアクアレン・シモンズ社のこと
理事長 井上健雄