西洋医学は、サイエンスで築かれている。
Science(科学)とは、ラテン語のscireで切る、分離するという意味を原義とする。
つまり科学とは、小さく分けて専門性を追求する学問となったのである。
余談だが、英国はscientistと呼ばれるのは厭がって、博士をPhD.(Doctor of Philosophy)という呼称で一般化している。
哲学者を称しているが、工学、理学、学術学…等々まで哲学者とは違和感がある。
科学は、客観性・普遍性・論理性を満たすことを前提としている。
つまりこれらをエビデンスで満たす為には、基本的に分けて分けて細分化したところが対象とならざるをえないのである。
一方で、東洋医学、特に和漢薬の対称は、人間をトータルに望(み)て、患者の訴えを聞(ぶん)し、問い、切(せつ)つまり触る、これら4つの行為から「証」を得て対応を立てるのである。
つまり科学は、エビデンスのあるものに対し手を打てるが、不定愁訴の様なエビデンスがないものには、手を打てないのである。
患者さん、人間の直接の声に対応できない医学はなにかおかしい。
勿論、これはどちらが優位かという事ではなく、特色なのであり、またそれぞれの人々にとって、疾病の病態にとって、どちらが効果があるかということであろう。
私は、明確な病状には心身二元論の西洋医学となり、分りにくい体がダルイとか、気力が満たないとかに対しては、心身一如の東洋医学(和漢薬)が効くのでないかと考える。
長寿と言われる日本社会だが、平均寿命と健康寿命の差が大きい。
この差を埋めるものは、心身一如の東洋医学の役割が大きいと考える。
東洋医学としての和漢薬が、健康寿命にとって大きなソリューションとなるのでないかと考えている。
和漢薬というと、何か時代遅れのように思う人もいるだろうが、人類誕生から数千年経つが、人間の生体防御システムは変わっていないのだから。
皆様ご一緒に、これからの健康長寿社会の為に薬草・薬木、勉強しませんか。
そして健康を楽しみましょう。
和漢薬: | 漢方は中国で発祥し、日本に入ってきたもの。 それを受けて、日本において日本の薬木・薬草を使い発展したものが和薬であり、二つを併せたものを和漢薬と解する。 |
理事長 井上 健雄