NPO法人イー・ビーイング
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「クロックス」という驚き(2)

 前月、「クロックスという驚き」で人、生物は宇宙のリズムをコピーして生きていると紹介しました。
 このリズムを植物も刻んでいます。
 1958年、フランスの天文学者ド・メランは、マメ科のオジギソウの葉が暗黒の中でも昼の時間には繰り返し葉を開くことを観察しました。
 つまり植物も体内に時計を持っていると。
 体内時計は、気孔の開閉、光合成活性、日長の測定、組織サイズの制御、低温ストレスへの応答、代謝経路のホメオスタシスなど、いろいろな機能を果しています。

 植物にとって太陽光は、光合成をするための唯一の栄養源なのです。
 だから0.2ルクスの光(満月の明るさ)にも反応するように、どんな一筋の光でも逃すまいと設計されています。
 従って光の感知リズムをうまく活用すれば、植物の成長は加速するだろうという仮説が成り立ちます。
 これまで私たちは、品種改良の過程で植物の体内時計を利用してきました。
 今後、時計遺伝子の解明(現在シロイヌナズナから25個の遺伝子が見つかっています)が進めば、画期的な植物も可能です。
 朝顔(ヒルガオ科の一年草)、昼顔(ヒルガオ科の多年草)、夕顔(ウリ科の一年草)はそれぞれ朝・昼・夕に咲きますが、それぞれ体内時計を人工的に制御できれば、一日中咲く朝顔や夕方咲く昼顔も可能でしょう。
 また、スイカの花は午前中に開きますが、これを農作業上午後にして受粉をさせることもできるでしょう。

 神のつくりし神秘に挑戦というより、今後の食糧不足を見据えて食物としての作物づくりという観点なら、こうした動きも加速させなければならない時代です。
 今、私たちがコンソーシアムメンバーとして参加している大阪府立大学の植物工場研究センターにおいて、これらの研究が進展しています。
 時々そのあたりの成果をお知らせしたいと思います。

理事長  井上 健雄

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