ソーシャル・キャピタルとしてのエコロジー研究会
G8諸国の中で、日本がもっとも不確実性を許容しない国(日本・ロシア)になっている。
逆に不確実性を許容する国としてシンガポール、香港、マレーシア、オランダなどがある。
これらは海洋型都市国家である。
日本も海洋型であるのに、この閉鎖性はどうだろう。
また、ホフステードによる男性的文化指標によると、日本はもっとも男性的と位置づけられている。
決して良い意味ではない。
男性度が低いのは、スウェーデン、ノルウェイ、オランダ、デンマークなどで、経済成長率も高いものになっている。
有名大学 → 大会社 → 粛々と働く。
真面目に思えるが、古い価値観に捕われ、変化が読めないアホに過ぎない
こうした状況では、変化の激しい時代に対処できないだろう。
この二軸を表にしたものを掲載する。
日本の対極にあるオランダ。
このオランダ(ネーデルランド)は、どうしてこうしたポジションを獲得したのだろう。
オランダは、ライン、マース、スヘルデの河川と北海の水がたえず領土を侵してきたのである。
国土の1/4が海面より低く、半分以上が水没の可能性を持っている。
この水との絶えざる戦いにより、オランダは状況対処能力を形成していったのである。
また福島原発の暴風に耐える基準は、500年に1回である。
貞観地震(869年)の存在も指摘されていたが、対策には反映されなかった。
せいぜい1,000年に1度であるのに…
日本の対策は、いかに近視眼的でリニアであるかが分かる。
一方、オランダは「デルタプロジェクト」により、いつも新しい目で水への接し方を考えている。
嘗ては、オランダの水の戦いは、陸地から水を遠ざけ、水を効率的に海へ排水することにあった。
その為に、風車による水位調整システムがあったのである。
しかし現在は、温暖化による海面上昇、アルプス氷河消失による河川水の増加により、水の排水より、水と共存する水上都市(フローティング・シティ)構想や、貯水湖などの対策に変わりつつある。
これがトランジション・マネジメントである。
つまり状況が変わった時、その状況に合わせマネジメントを移行させ、持続可能な社会を実現させるものとして、トランジション・マネジメントがある。
日本は、もっとしなやかに不確実性に対処し、毅然とした実行をすべきである。
不確実性の中での実行の為に、各分野の智慧の集合体としてのソーシャル・キャピタルの形成が求められている。
その枠組みを担うのが、私たちフィランスロピー研究所の組織するエコロジー研究会こそ、そのソーシャル・キャピタルでないかと不遜にも考えている。
みなさん、一緒に社会事業やりませんか。
理事長 井上 健雄