居ずまいを正す不思議方程式に挑む
イー・ビーイング 理事長
井上 健雄
ありがとうございます。ふっと気がつけば10年。
社会が変化する中で、社会の求めることを仕事とすることほど、楽しくやり甲斐のあることはありません。
私たちは、『環境を守り、人々がより良く生きられる社会を創ろう』とイー・ビーイングの旅に出ました。
海・山・川・大地のもたらす恵みは、人々・動植物等々を生き生き楽しませてくれます。
いま私たちが享受している豊かな自然を、人々がより良く生きる活動と連動させて実現させたいのです。これを私たちは、生活の居ずまいを正すことと考えました。
そうした思いの中から、仕事が生まれ、社会的なパフォーマンスを少しは残せたかと思います。ここに人としての生き甲斐と幸福がありました。
しかしすべてが順風満帆であった訳ではありません。
はじめて歩くNPOの道。「僕の前には道はない、僕の後ろに道が出来る…」高村光太郎の世界でした。
しかし光太郎と決定的に違っていたのは、私は、素晴らしい仲間と環境に恵まれてスタートできたことです。
試練があればあるほど、私たちのイー・ビーイングに強さと能力が生まれました。
本当に僥倖と仲間に恵まれて、今日まで歩んでこられました。いまも震えるばかりの感謝で一杯です。ありがとうございます。
私たちは、いつも変化する世界で剴切な解を探し、それを正しく解いていかなければなりません。
例えば気候温暖化問題は、京都議定書の枠組みに従って解いてきましたが、これからはどうでしょうか。厄介な政治・経済情勢、アメリカ・中国・インドの枠組み不参加の中での約束の意味、ロシアのホットエアを買う、これらが正義に適っているのでしょうか。
私は、気候問題は人口問題、テクノロジー問題、資源利用問題、エネルギー問題、経済開発問題、土地利用問題、生物多様性等の不思議方程式であると考えます。
これらはそれぞれ独立した問題ではなく、複合的に解決されるべきものです。時間がかかるものです。○○年までに解決するといった問題ではありません。
まず考えるべきは、茅陽一教授の公式です。私はこれを居ずまいを正す公式としています。
CO2排出量=人口×GDP/人口×TE/GDP×CO2/TE
TE:総エネルギー使用量
つまり人口と国富(GDP)とエネルギー原単位(TE/GDP)、炭素原単位(CO2/TE)の4つのマクロレベルでの政策を問うべきなのです。
解は、人口を減らす、国富を落とす、エネルギー原単位については効率を上げる、炭素原単位についてはCO2排出量の少ないものに移行させることです。
この間に、異常気象によるドカ雨などで起こる土砂災害といったもの等への個別解を、まず用意すべきだと考えます。
人は、どんなに頑張ってみても、やはり「未来に未練を残す」ことがあるでしょう。
しかし、私はこう考えます。“これがイー・ビーイング”という組織の志があれば、未来に未練を残さず、永遠にその解決に力を尽くせるはずです。
これからもこのイー・ビーイングを生活の居ずまいを正し導ける組織に育てていきたいのです。
2011年2月11日