キリギリスに歌わせ、アリは稼ぐ!

2015/9/2(水)

~ グローバル化からホームバイアス化へ ~

この厳しく暑かった夏もそろそろ終焉か?
少なくとも朝夕に渡る風は秋。
この夏、うるさく鳴いたセミ、キリギリス…せっせと働いたアリさん…も秋を迎える。

イソップ寓話
夏、歌い遊んだキリギリス♪♪♪
冬になって食べ物がない。アリさんに食べ物をネダル。
アリさん;『夏、楽しく歌ったのだから今度は踊られたら…』

これはギリシャ危機のギリシャとドイツに似ていなくもない。
しかし本質は異なる。
ドイツは、ギリシャにせっせと金を融通していたのである。
エッ~~!ドイツって、優しい国なのね…
イヤ!それは違います。

少し考えてみましょう。
たとえば、ドイツのインフレ率が1%とする。
名目金利を2%とすると、2%-1%、つまりインフレ調整すると1%となる。
しかしこれを、ギリシャでインフレ率を20%(2011年)とすると、実質金利は2%-20%でマイナス18%になります。
つまり、ドイツで2%の金利を払い100ユーロ借りて、ギリシャで100ユーロ投資します。
20%のインフレ率ですから、1年後120ユーロになります。
つまり120ユーロで売って、102ユーロ返済するなら、18ユーロ儲かるという訳です。
同じユーロですから、ドイツで投資するよりギリシャに投資した方が得になる。
(ここの所はもう少し詳しい説明がいるんですが、割愛させていただきます)
『つまり、インフレ率の低い国で金を借りて、高いインフレ率の国に投資すれば良い』
せっせと貸す事は助けることでなく、儲けることになっています。
ドイツは賢いアリさん?

でもギリシャ政府にデフォルトを出されると、稼いだギリシャ債権が紙屑になるので、今度は損失に変わります。
だから延命策に懸命です。
こうした事象に対し、予防的になると国を超えたグローバルリズムに変調が出てきます。
この現象をきっと逆グローバルリズムと呼ぶべきなのでしょうか。
今後、金(カネ)が自国内で動く率が増えることになります。
これをホームバイアスといいます。
世界的にみても、お金はホームバイアスしています。
北米なら90%前後、日本やオーストラリアで80%。
なのに欧州は60%前後です。
つまりEU内で金が自由に動き回って、有利な所に金がいっていることになります。
強い所はより強く、弱い所はより弱くと…
EU政府、EU全体のコントロール体がない所では、こうなります。
グローバル化の社会において、防衛的には、グローバル化とは逆のホームバイアスのかかる社会になっているのです。
これは興味深く、また示唆的でもあります。

これが企業内で起これば、「蛸の足食い」になります。
正常な努力を見極めることが必要です。
それぞれお考えいただければ面白いかと思います。

理事長  井上 健雄

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