「日本の農業」道普請【2月】

2020/3/23(月)

春風に 夢いだきつつ 道普請  井美韻宮

日本の暦は、万物の変化を本当にうまくとらえている。

立春(2/4) 雨水(2/19) 啓蟄(3/5) 彼岸(3/17) 春分(3/20)

こうした変化が、日本の奥ゆかしさ、複雑性、緻密性などを生みだしている。

日本人はこのように感情的あるいは抒情的なセンスに秀れている。

一方で、知の勝った方向には、疎いようである。

ここで「知」について、農業の収穫量の比較から考えてみよう。

コメの1haあたり収量の変化(A)   日本とイスラエルの1ha当たりの収量の経年変化(B)

kome日本とイスラエルの1ha当たりの収量の経年変化つまりこの(A)表が語ることは日本では1960年から1970年にかけて米の収量が4.88tから6tまで伸びているが、1970年以降は6tから伸びていない。これは減反政策の結果である。

 

人智に叛いた減反政策が、日本の農業を工夫なしにしたのではないだろうか。

この傾向はほかの農作物の収量にも影響を及ぼしている。

 

(B)表のピーマン、ニンジン、トウモロコシ…等の単位当たり収量の日本とイスラエルの比較を見て欲しい。殆どの品目について1960年代は、拮抗していたものが近年は大きく差をつけられている。そしてイスラエルの収量のギザギザは、収量が安定してないという見方もあるが、私は毎年毎年のチャレンジの結果だと思う。一方、日本の横ばいの線は、伝統を守るだけのチャレンジ性に欠けるのでないか。

このようなことは、日本だけを見ていては分からない。

日本で「農業とはお年寄り」というイメージ、そして伝統的、保守的な傾向が強すぎるのではないだろうか。

例えば、イスラエルでは、農業は仕事、そして稼ぐことの出来るものだと考えられている。

日本で、農業を「稼ぐ」視点で取り組むべきだと主張すると、「農業は、多面的機能」を持っていると応える。

「土砂崩れを防ぐ」「景観の保全」「洪水を防ぐ」「生物多様性の住処」「子供たちの体験学習の場」…等々の重要な価値への矜持持ちを出すことになる。

これも大変結構なことで誇りを抱くべき仕事ではあるけれど、一方で国際化の中で、農作物は、売って買われて、儲かることなしに持続性はない。

その上、今は、3E時代でもあり、環境(entertainment)エネルギー(energy)、経済(economy)を同軸にwin-winの構造を築くことが求められている。

とはいえその解決策は、組織化や株式会社化ではない。

あのアメリカだって200万以上の農業経営体があっても、97%は家族経営である。目をヨーロッパに転じても96%は家族経営なのである。

私は、日本の農業の問題点の一つは、農産物の栽培方法にあると思っている。

さあ、春風に乗って農の道普請を始めようでないか。

理事長 井上健雄

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