NPO法人イー・ビーイング
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地域おこしを6次産業化で(5)
6化研と望聴問切

 新資源6次産業化について、挨拶とありがとうで各2回ずつ4回書き連ねてきたが、今回は少し観点を変えて、東洋医学の観点から病態に迫る方法について記しながら、6化研への考え方を述べたい。

 漢方医学の世界に望聴問切(ぼうぶんもんせつ)という言葉がある。
 お医者さんが患者さんを見て、病態に適切な処置をする診察の4手法を意味する言葉である。
 それぞれ1.望診(ぼうしん)、2.聴診(ぶんしん)、3.問診(もんしん)、4.切診(せっしん)を指す。

 この4つの中で、最も情報が多いものが3の問診である。
 情報量の80%がここで集約されると言われている。
 特にここの問診で特徴的なことは、西洋医学では役に立たないとされる「つまらなく見える情報」こそが重要視されるのである。
 患者さんの個人的表白『疲れやすい』『気分がうっとうしい』『立ちくらみが多い…』とかが漢方医学にとって重要なのである。
 西洋医学では、エビデンス−検査をして異常値を見つけ、それをつぶす薬とか−が重視されるので、一般的な体調表白は、参考にされないと言うよりエビデンスがなければ対策が立てられないのである。

 私は1の望診に2〜4の対応が隠れていると見る。
 望診には大きくは二つあり、一つが中心視野と、二つに周辺視野がある。
 先の方は例えば、カルテの画面を見て治療内容などをチェックすることであるが、後の方は、患者さんが診察室に入ってこられた雰囲気、様子を重視するものである。
 なぜなら人類何億年の歴史の中で、身に迫る危険を察知したり、ヒトとしての記憶を体現している状態を見るのが周辺視野である。
 緩慢な動作とか機敏であるかによって、大きくその人の病態を捉えることができるのである。

 2の聴診(ぶんしん)とは、その人の臭い、つまり嗅覚による情報収集である。
 アンモニア臭があると肝硬変症であるとか、口臭はシェーグレン症候群であったり、汗の臭いで…○○対策を採るものである。

 4の切診は、体に触って情報を取る方法で、脈であったり、いろいろな部位を触り、痛みの箇所を知ることである。
 1〜3の結果を4の切診で病態を決定し、施薬する最終工程である。
 これらの過程を経ることで、患者さんの信頼も増し、服薬コンプライアンスも上がり、成果も高まる。

 漢方医学の智慧について少し触れたが、新資源6次産業化研究会は、西洋医学的なエビデンスを重視しながらも、私たちは、東洋的医学の志を持つものである。
 というのも、1〜3次産業を組み合わせるということは、単なるたし算でなく、かけ算であると考えるからである。
 つまりどこかのクラスターがマイナスで赤字だとすると、積もマイナスになると考えるのである。

 6化研は、いつでも現状より向上し、どこよりも安全・安心であり、機能性の高いパフォーマンスを持続的におさめる仕組みを目指しているのである。
 この仕組みを支えるものの一つに、この「望聴問切」がある。
 一緒に勉強して、新しい事業体創りませんか!

理事長  井上 健雄

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