NPO法人イー・ビーイング
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キリギリスに歌わせ、アリは稼ぐ!
〜 グローバル化からホームバイアス化へ 〜

 この厳しく暑かった夏もそろそろ終焉か?
 少なくとも朝夕に渡る風は秋。
 この夏、うるさく鳴いたセミ、キリギリス…せっせと働いたアリさん…も秋を迎える。

 

イソップ寓話
夏、歌い遊んだキリギリス♪♪♪
冬になって食べ物がない。アリさんに食べ物をネダル。
アリさん;『夏、楽しく歌ったのだから今度は踊られたら…』

 これはギリシャ危機のギリシャとドイツに似ていなくもない。
 しかし本質は異なる。
 ドイツは、ギリシャにせっせと金を融通していたのである。
 エッ〜〜!ドイツって、優しい国なのね…
 イヤ!それは違います。

 少し考えてみましょう。
 たとえば、ドイツのインフレ率が1%とする。
 名目金利を2%とすると、2%−1%、つまりインフレ調整すると1%となる。
 しかしこれを、ギリシャでインフレ率を20%(2011年)とすると、実質金利は2%−20%でマイナス18%になります。
 つまり、ドイツで2%の金利を払い100ユーロ借りて、ギリシャで100ユーロ投資します。
 20%のインフレ率ですから、1年後120ユーロになります。
 つまり120ユーロで売って、102ユーロ返済するなら、18ユーロ儲かるという訳です。
 同じユーロですから、ドイツで投資するよりギリシャに投資した方が得になる。
 (ここの所はもう少し詳しい説明がいるんですが、割愛させていただきます)
 『つまり、インフレ率の低い国で金を借りて、高いインフレ率の国に投資すれば良い』
 せっせと貸す事は助けることでなく、儲けることになっています。
 ドイツは賢いアリさん?

 でもギリシャ政府にデフォルトを出されると、稼いだギリシャ債権が紙屑になるので、今度は損失に変わります。
 だから延命策に懸命です。
 こうした事象に対し、予防的になると国を超えたグローバルリズムに変調が出てきます。
 この現象をきっと逆グローバルリズムと呼ぶべきなのでしょうか。
 今後、金(カネ)が自国内で動く率が増えることになります。
 これをホームバイアスといいます。
 世界的にみても、お金はホームバイアスしています。
 北米なら90%前後、日本やオーストラリアで80%。
 なのに欧州は60%前後です。
 つまりEU内で金が自由に動き回って、有利な所に金がいっていることになります。
 強い所はより強く、弱い所はより弱くと…
 EU政府、EU全体のコントロール体がない所では、こうなります。
 グローバル化の社会において、防衛的には、グローバル化とは逆のホームバイアスのかかる社会になっているのです。
 これは興味深く、また示唆的でもあります。

 これが企業内で起これば、「蛸の足食い」になります。
 正常な努力を見極めることが必要です。
 それぞれお考えいただければ面白いかと思います。

理事長  井上 健雄

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