先月のありがとうで、チャリオット(轍)を残す為にプレゼン力が必要だとしました。
そこで今月は、プレゼン力理論として、LEP理論を紹介します。
L ロゴス:logos 理論
E エトス:ethos 人格的信用
P パトス:pathos 感情
これは世界の流儀でグローバルプロトコルと呼ばれるものです。
しかしこれは目新しいものでなく、アリストテレス(紀元前384〜322)の弁論術にあるものです。
まず「語りかける相手」の感情(P)を動かす。
相手の感情を動かす為には、「語り手」の人柄が重要となる。(E)
そしてその話す内容は論理的(L)であることである。
普通の人々は、どれかが秀れていれば良いのかも知れませんが、人を導くリーダーとなる為には、この3つがバランスされていることに加え、3つのどれかがズバ抜けていることが重要になります。
この例として、2020東京オリンピック、パラリンピックの招致に成功した日本チームのプレゼンを見てみましょう。
- 高円宮妃殿下と佐藤真海選手のあふれる笑顔。視覚で聴衆を釘付けにするglance、一瞥力。
- 話の冒頭に聞き手との間に橋を架ける「委員長ならびにIOC委員の皆様…」ブリッジング
- ロゴスとして竹田JOC会長。「日本はドーピング違反0…」等数値によるエビデンスを示す。
- それぞれが自分の実体験を素直に話す。自己開示し共感を得る。
- 感謝の言葉「東日本大震災に世界から寄せられた好意に感謝…」を述べる。
- 事前情報収集:日本の原発事故について不安視されている中で、不安にこたえる情報提供能力が大事になる。そこで安倍首相の「アンダー・コントロール…」が功を奏したのである。
- 表象動作:滝川クリステルの「お・も・て・な・し」は、言葉を表現する動作として最適であった。
- 言語コード:オリンピックの公用語である英語とフランス語で話す。
- 映像効果:視覚により強烈な印象を与える。
- パラ・ランゲージ:声に関する要素をしっかりガバナンスする。声のボリューム、速度、間などメリハリをつける。
- コンシールメント:相手の予想を裏切り、(例)高円宮妃殿下、そして佐藤選手の順番など。
- 高い理念:オリンピックの価値をLegacy(遺産)という言葉で何度も強調。
- パッション:「東京に投票してください」
- 三点絞り:伝えたいことを三点に絞り強調。東京の強みは運営・祝祭・革新とした。
- 結論:二段論法として不確実性の解消 → 不安を解く。質疑でHowを説明。
- 補助動作
- アイコンタクト:聴衆の一人ひとりに目を留める。(原稿を読んでいてはできない)
- 集中の3分ルール:800字を単位に話し、映像、音を加える。
- 音楽効果:音楽により「いやし」を入れる。
- リハーサル:練習すればするほどパワーが上がる。(リハーサルなしにプレゼン力向上はない)
この20を完璧に熟すことは、大変だが、このステップを頭に入れて話をすると、プレゼン力、説得力を格段に高められます。
少し端折った8つとして、笑顔・ブリッジ・エビデンス・素直・感謝・事前情報収集・高い理念・リハーサルをお奨めしたい。
LEPで職業人としてプレゼン力を高め、それぞれの業績力も高めて欲しい。
理事長 井上 健雄