大阪産業大学 人間環境学部 教授
菅原 正孝
土壌が有害物質その他で汚染されているケースがマスコミを通じて報道され、時に大きな社会問題となる。
しかし、それは氷山の一角であり、多くの場合、問題が表面化することはまれで、特に一般には知らされることなく修復され、取引されているのが実情である。行政も公的機関においても実態の把握が十分できているとは思えない。
また汚染土壌であることが明らかになったとして、土地の利用や土地の取引が中断されているということはなく、利害関係者間では、汚染土壌の修復を前提にした利活用は盛んに行われている。
その意味で、汚染土壌の調査と修復事業の重要性は、きわめて大きい。
一旦価値が低下した土地が、蘇ってそれ相応の評価が得られるということは誠に喜ばしいことである。当事者に限らず、対象地とその周辺地域の大気や水環境が健全に保全されることは、周辺住民にとっても、また地球環境保全という大きな枠組みからもきわめて重要なことである。
しかし、現状では、このようにして実施された土壌調査・修復事業に対して、公正な評価をおこなう機関は、残念ながらほとんど存在していない。
せっかく事業を実施しても、当事者間のみで土地取引等が完了してしまい、事業の重要性が指摘されるにもかかわらず、様々な有意なデータ、工法等の情報の共有・集積がなされない。
実際にその土地を利用する立場の人々にとっても、さらには地域・地球規模の環境保全を目指すという視点からも、これでは不十分であるといわざるを得ない。
こうした背景のもと志を同じくする者が集まり、鋭意検討を重ねた結果、以下に示す新しい仕組みが構築されたことは大変喜ばしいことである。
汚染土壌で悩んでおられる多くの皆さんに本第三者評価委員会が活用されることを願う次第である。